日経ESG・ESGブランド調査2021取材班

環境イメージスコアがここ2年で急上昇、ガバナンスでも評価を上げる。背景に見えるのは、堂前新社長が進める「公益人本主義」と「地域土着化」だ。

 生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画が昨年の総合29位から13位にランクを上げた。この1年だけの動きを見ればそれほどの驚きはないかもしれない。だが過去5年で見ると大きな変化に気づく。

■ 良品計画のESGブランド指数
■ 良品計画のESGブランド指数
■ ESGブランド指数トップ10
■ ESGブランド指数トップ10
11位から100位のランキング、調査方法はこちらを参照ください
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 本調査の前身である環境ブランド調査から同じ手法で分析している「環境イメージスコア」について同社のランキング推移を示す(下の図)。15年以降、50位前後から徐々にスコアを落とし、19年には79位まで低迷した。それが一転、昨年は22位、今年はついにトップテン入りをうかがう11位まで躍進した。19年以降、同社に何があったのか。

■ 良品計画の環境イメージスコアランキングの推移
■ 良品計画の環境イメージスコアランキングの推移
2015年の64位から16年には48位に上げたが、その後は徐々に順位を落とし、19年は79位に。それが20年は22位、21年は11位に順位を上げた

「第二の創業」を宣言

 良品計画の新年度が始まる2021年9月1日に代表取締役社長に就任した堂前宣夫氏。19年は、堂前氏が同社の上席執行役員営業本部長として入社した年だ。ファーストリテイリングに20年近く在籍し柳井正社長を支え同社を急成長させた堂前氏が、良品計画でどのように手腕を発揮するのか。投資家の注目度は高い。

 社長就任に先立ち、7月に発表した中期経営計画では、「第二創業」を宣言。30年に現状の6倍超の売上高3兆円、2500店舗を目標に掲げた拡大経営路線が話題になった。

 ここで注目すべきは、実現に向けた経営方針として示された「公益人本主義」と「地域への土着化」というキーワードだ。堂前氏はファーストリテイリングでも本部主導から店舗自立への転換を主導した。「土着化」はまさに経営改革を象徴する言葉と言える。本調査で示されたブランドイメージのV字回復は、堂前氏が進めてきた改革の成果の表れとみることもできる。

土着化で進めるESG

 20年7月に新潟県上越市にオープンした「無印良品 直江津」は土着化への試金石の1つだ。売り場面積は約4900m2と国内最大規模。開店から1年を経た今も売り上げは順調に伸びている。

 「土着化活動の中心にいるのが、店舗に勤務するコミュニティマネージャー。地域の個店や活動家などに働きかけ、地域の課題を解決・貢献する事業を連携して行っている。そうすることで地域を活性化し、社会に良いインパクトをつくっていく」と、森下公江広報・ESG推進部長は語る。

 直江津店の地域貢献で特に評判を呼んでいるのが移動販売バスだ。新型コロナウイルス感染症の影響で、高齢者を中心に店舗まで買い物に出かけるのが困難な状況にある。そうしたなか移動販売バスは上越市内だけでなく、周辺の中山間地にも回って販売を行っている。鮮魚や総菜、雑貨などを扱う店の車が同行することもあり、地域の活性化にもつながっている。

新潟県上越市にオープンした「無印良品 直江津」は地域の土着化を推進。市内だけでなく、周辺の中山間地も回る移動販売バスは、地域貢献の象徴<br><span class="fontSizeS">(写真:良品計画)</span>
新潟県上越市にオープンした「無印良品 直江津」は地域の土着化を推進。市内だけでなく、周辺の中山間地も回る移動販売バスは、地域貢献の象徴
(写真:良品計画)