日経ESG・ESGブランド調査2021取材班

働きやすさで社会イメージスコアが急上昇、トップテン入りを果たす。「食」の力で課題解決を目指すCSV経営を実践、地域産業の育成にも乗り出す。

 ネスレは、昨年の総合45位から今年は18位に急上昇した。特に社会は7位とトップテン入りを果たしている。環境も昨年の93位から22位と大幅に順位を上げた。

■ ネスレのESGブランド指数
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■ ESGブランド指数トップ10
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 同社は、「食」の力で社会の課題を解決することを自社の存在意義(パーパス)に定めている(下の図)。その実践においては、既に2000年代からいち早くCSV(CreatingShared Value:共有価値の創造)を軸とする経営に取り組んできた。

 「事業を通して、人々の健康と豊かさ、サステナビリティという社会的な価値を創造しようと取り組んできた。それが消費者に伝わり、ブランドイメージの向上につながったのではないかと思う」と、ネスレ日本執行役員の嘉納未來コーポレートアフェアーズ統括部長は話す。

■ ネスレのパーパスと日本での取り組み
■ ネスレのパーパスと日本での取り組み
出所:ネスレ日本
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3つの柱でパーパスを達成

 同社は、3つの柱を立てて社会の課題解決に取り組んでいる。「個人と家族」「コミュニティ」「地球」だ。

 「個人と家族」への取り組みでは、「3 Coffee a Day」という啓発活動を実践している。「コーヒーを1日3杯以上飲むと、身体的、精神的、社会的に健康」という考えに基づくものだ。特に昨年からのコロナ禍で、自宅でのリモートワークが増える中、「コーヒーとGood Lifeに関する調査 2020」を実施し、仕事中のパフォーマンスを高めるコーヒーの飲み方の提案などを行った。

 「コミュニティ」への取り組みではコロナ禍の影響を受けた人を支援するため、自社製品を日本赤十字社や子どもの支援団体、フードバンク、医療機関などに寄贈した。

 今回の調査で社会のイメージスコアが上昇したのも、コミュニティの課題に取り組む姿勢が評価されたと言えそうだ。中でも、「リモートワークやジョブ型雇用を取り入れるなど働き方改革を推進」「女性の雇用に積極的・女性を幹部に登用」などのスコアを伸ばした。

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日本イーライリリーと開催している国際女性デー合同イベントのコラージュ(写真:ネスレ日本)

 働きやすい職場つくりの一環として取り組んでいるのが、同じ神戸に本社を置く製薬会社の日本イーライリリーと開催している国際女性デー合同イベントだ。今年は3月8日から1週間、女性のキャリアや健康、育児などをテーマに、11セッションが両社の全社員にオンラインで提供された。コーヒーを活用した仕事のオンオフの切り替えや栄養価の高いスーパーフードの紹介、在宅ワークの疲れを取るためのマッサージ実演など内容は様々。男女問わず両社から延べ650人以上が参加した。

 「異業種の社員と交流することでそれぞれの知見を共有でき、仕事の効率化や新商品開発のヒントを得られるだけでなく、普段の生活を豊かにするきっかけつくりにもなっている」と嘉納統括部長。ダイバーシティ&インクルージョンの推進にも大いに役立っていると話す。