日経ESG・ESGブランド調査2021取材班

一般の消費者やビジネスパーソン約2万1000人にESGの視点から企業のブランドイメージを聞く「ESGブランド調査」。2021年に実施した第2回の結果は、前年に引き続き圧倒的な支持を得たトヨタ自動車が総合1位を堅守した。2位には、昨年と同じくサントリーが続いた。
 この調査では、「環境」「社会」「ガバナンス」「インテグリティ(誠実さ)」の4分野で、「気候変動の対応に努めている」や「経営トップがガバナンスに対する高い意識を持っている」など合計68の項目を設定し、各社(各ブランド)のイメージを聞いた。今回は特定の業種に焦点を当て、調査結果を分析する。

 ESGブランド調査では560企業ブランドを24の業種に分類している。ここでは、2020年の第1回調査と、21年の第2回調査とで、ESGブランド指数の業種平均値がどのように変化したかを見ていく。コロナ禍の厳しい環境にあってもESGの取り組みを進め、消費者に伝えることができた業種はどこなのか。

 一般に、消費者に直接モノやサービスを提供する「BtoC企業」はESGの取り組みをアピールしやすいため、ESGブランド指数の業種平均は高い傾向がある。21年調査の業種平均ランキングの1位は食品(59.1、20年ランキング1位)、2位は飲食・宿泊(55.3、同2位)、3位は主に自動車メーカーで構成する輸送機器(54.1、同5位)だった。

 これに対し、企業間の取引が中心の素材産業など「BtoB企業」の業種平均は低い傾向にある。だが最近、サプライチェーンの川下の企業が、上流の取引先に対してESGへの配慮を求める動きが強まっており、BtoB企業もESGへの取り組みなしには立ち行かなくなってきている。その結果として、ESGに取り組む企業の裾野があらゆる業種に広がりつつある。

鉄鋼大手3社が躍進

 本調査でも、その傾向を裏付ける結果となった。20年と21年でESGブランド指数の業種平均を比較したところ、最もスコアが上昇したのは鉄鋼業で、3.15ポイントも引き上げた(下の表)。

■ ESGブランド指数の業種平均が上昇したのは14業種
■ ESGブランド指数の業種平均が上昇したのは14業種
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 特に、売上高トップの日本製鉄が6.5ポイント、同2位のJFEが6.3ポイント、同3位の神戸製鋼所が5.7ポイントと大幅な上昇となっており、業界平均を大きく引き上げた。

 この3社は21年3月から5月にかけて相次いで「2050年カーボンニュートラル」を宣言しており、そのことがスコア上昇の背景にあるようだ。各社の自由意見を見ても「カーボンニュートラルを発表した」「製鉄業としてCO2削減は大変なことだと思うが、がんばってほしい」など、宣言を好感したり支持したりする記述が多く見られた。

 特に製鉄プロセスの脱炭素化技術への期待は大きい。従来から日本製鉄、JFE、神戸製鋼所と日鉄エンジニアリングの4社は共同で、製鉄プロセスからのCO2排出削減を目指す技術開発プロジェクト「COURSE50」に取り組んでおり、その成果も見え始めている。