日本製鉄はコークスの一部を水素で代替する高炉水素還元や、CO2の分離回収・利用・貯留(CCUS)などの技術を組み合わせ、ゼロカーボン・スチールを実現するとしている。同社の東日本製鉄所君津地区に建設した水素還元用の高炉では16年から水素を吹き込む実証が始まり、10%のCO2削減に成功した。CCUSでは、グループの日鉄エンジニアリングが化学吸収法による省エネ型CO2回収設備の開発に取り組んでいる。18年末には、住友共同電力の新居浜西火力発電所に建設した商用2号機が完成した。

 一方、JFEは、還元剤のコークスの一部を「フェロコークス」という材料に置き換え、炉内の反応を高速化することでCO2排出を削減する。西日本製鉄所福山地区にフェロコークスの製造設備を建設し、実証試験を進めている。同社はまた製鉄工程で排出されるCO2からメタンを合成し、鉄鋼石から酸素を除く還元工程に再利用したり、化学品のメタノールを高効率・低コストで合成したりする技術にも取り組んでいる。

 鉄鋼業はカーボンニュートラル宣言に合わせて、こうした脱炭素化への取り組みを積極的に開示していることがイメージアップにつながったと言える。

鉄鋼業界では、還元剤のコークスの一部を「フェロコークス」という材料に置き換え、炉内の反応を高速化する技術に取り組んでいる。コークスの使用量を減らすことによってCO<sub class="fontSizeXS">2</sub>排出量を削減する<br><span class="fontSizeS">(写真:JFE スチール)</span>
鉄鋼業界では、還元剤のコークスの一部を「フェロコークス」という材料に置き換え、炉内の反応を高速化する技術に取り組んでいる。コークスの使用量を減らすことによってCO2排出量を削減する
(写真:JFE スチール)
日鉄エンジニアリングは化学吸収法による省エネ型CO<sub class="fontSizeXS">2</sub>回収設備(CCU)の開発に取り組む。18年末には商用2号機が住友共同電力の新居浜西火力発電所構内に完成した<br><span class="fontSizeS">(写真:日鉄エンジニアリング)</span>
日鉄エンジニアリングは化学吸収法による省エネ型CO2回収設備(CCU)の開発に取り組む。18年末には商用2号機が住友共同電力の新居浜西火力発電所構内に完成した
(写真:日鉄エンジニアリング)

 逆に、本調査を実施した21年6月までに50年カーボンニュートラルを宣言しなかった他の鉄鋼各社はESGブランド指数を5~6ポイントも下げた。宣言するかしないかで消費者の反応が顕著に分かれたことに驚く。有言実行するかしないかも含め、消費者は企業の動きを凝視していることを忘れてはならない。

環境技術がブランド力を高める

 業種平均の上昇率2位は窯業。注目すべきは、BtoB企業の日本ガイシやAGC、日東紡など素材企業への評価だ。

 日本ガイシは、燃料電池の中でも発電効率が高いとされる固体酸化物型燃料電池(SOFC)のセラミック電解質、AGCは固体高分子型燃料電池(PEFC)の電解質膜などで、それぞれ高い技術を持つ。両社の自由意見においても「脱炭素素材」「クリーンな材料の開発」「環境に配慮した製品」などを評価する記述が目立った。

 米国ではCO2排出削減を目標にしているデータセンターや工場などで燃料電池の導入が進んでおり、今後は国内でも導入拡大が期待されている。日本の素材・部材メーカーがこうした脱炭素化への要素技術を磨くことによって、ブランド力がさらに高まることは間違いない。