人的資本の情報開示は実際、どの程度進んでいるのか。リクルートが実施した調査から、企業の課題が見えてきた。

 今回は「人的資本の情報開示」に関する調査結果をご紹介します。

 そもそも人的資本の実態を表す情報とは、どのようなものがあるのでしょうか。人的資本の実態は、情報を単体で見るのではなく体系的に捉えることが重要です。

 例えば国際標準化機構(ISO)が2018年に公表した、人的資本の情報開示のためのガイドライン「ISO30414」では11の領域が示されています。各領域にはさらに細かな項目が設定されています。一例を挙げると、「リーダーシップ」には「従業員による管理職の評価」「マネジメントスキルの育成プログラムに参加した管理職の割合」などの項目が含まれています。

 人的資本とは、「人材を確保・育成する」→「人材に活躍の機会を提供する」→「成果を評価する」→「新たな育成と活躍の機会を提供する」という循環を回すことで、その価値を最大限発揮できるもの。育成・仕事の割り当て・評価といった人材マネジメントプロセスのそれぞれの段階に人的資本の指標があるのです。

「社外開示」は15%以下

 リクルートは昨年10~11月、企業の人事担当者約3000人を対象に、人的資本経営と人材マネジメントに関するアンケートを実施しました。人的資本に関する情報の測定および開示範囲の現状について5段階で回答いただきました(下の図)。

■ 6割の企業が人的資本情報を測定
■ 6割の企業が人的資本情報を測定
※ISO30414を参考に24項目の人的資本情報について確認し、全項目を集計したもの
(出所:リクルート)

 その結果、「測定している」という回答の割合は64.6%に達しました。半数以上で測定が進んでいる状況が見てとれます。その内訳を見ると、測定で得られた情報については「自部署(主に人事部)のみで活用」が19.7%、「社内のステークホルダー(経営層や従業員など)のみに開示・報告」が30.1%。今、注目されている「社外への開示・報告」まで至っている企業は14.9%にとどまっている実情が明らかになりました。