スコープ1(企業などが直接排出した温室効果ガス)、スコープ2(間接的に排出した温室効果ガス)に対し、スコープ3はバリューチェーン全体から排出された温室効果ガスを指す。

 スコープ1は、企業が自家発電設備やボイラーで化石燃料を利用したことによるCO2の排出や、素材メーカーなどの生産工程で排出される温室効果ガスの排出などが挙げられる。またスコープ2は、電力会社から購入した電力や、他社から購入した熱(蒸気)を利用することによるCO2の排出が挙げられる。

これらに対し、スコープ3は、企業が購入・調達した製品やサービス、資本財、輸送や配送、従業員の出張・通勤、販売した製品の加工や使用・廃棄、フランチャイズ、投資などによる排出が対象で、15のカテゴリーに分類される。

 なかでも注目されているのが、企業が購入・調達した製品による排出だ。例えば飲料メーカーは、調達したアルミ缶が製造された時に排出された温室効果ガス排出量の把握や削減に取り組んでいる。また、販売した製品の使用による排出も、企業にとっては重要だ。例えば自動車メーカーは、自動車の燃費を改善することで走行時に排出するCO2を削減できる。

 近ごろ金融機関が取り組んでいるのが、投資による排出量の算定である。大手金融機関が、投資や融資を行っているすべての企業の温室効果ガス排出量を把握し、削減する目標を立て始めている。

 スコープ3を算定することで、企業はバリューチェーン上の潜在的なリスクと機会を把握し成長につなげることが可能になる。バリューチェーンを含めた温室効果ガス排出量の少ない製品やサービスを開発することで、新たな市場機会を創出することができる。また、ESG格付け会社やステークホルダーに詳細な情報を開示することで、資金調達力の向上につなげることもできる。