聞き手/斎藤 正一

経営理念は、「スポーツ品とスポーツの振興を通じての社会貢献」。環境配慮商品の開発と一流選手の活動を通じ理念を実践する。

――スポーツ用品の総合メーカーとして、以前から環境、CSR(企業の社会的責任)活動に取り組んでいます。その背景にはどのような考えがあるのですか。

水野 明人(みずの・あきと)
ミズノ代表取締役社長
1949年生まれ。74年米イリノイ・ウエスレイアン大学経営学部卒業、75年、ミズノ入社、76年、関西学院大学商学部卒業、84年同社取締役、2006年6月から現職
写真/行友 重治

水野明人氏(以下、敬称略) 企業活動のなかで環境問題には早くから取り組んできました。環境保全活動は、1991年の「Crew21(ミズノ地球環境保全活動)」がスタートラインになりました。

 経営理念は、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」です。当時、今でいうCSRをどこまで意識していたかは分かりませんが、創業の頃から社会貢献を考えながら活動を続けてきました。

 地球温暖化問題に関心が集まり始めた時期と当社が環境活動を始めた時期は重なります。その後、グリーン調達をして環境に配慮した素材を使うとか、環境負荷の低い商品を開発するなど活動の幅を広げてきました。


――経営理念にあるCSRに通じる考えが、具体化している分野はありますか。

水野 自社の生産工場だけでなく、仕入先や製造委託先工場の方々などとともに、労働環境を適正に保つための活動である「CSR調達」に、2004年から取り組んでいます。このCSR調達では、法令順守はもとより、人権尊重、労働環境の安全性、環境保全などを監査し、問題があれば改善を図っています。

 中国など国内外の約150の製造委託先工場を直接訪ね、「ミズノCSR調達行動規範」に定めた人権や労働慣行、環境面について状況を把握するための「CSR監査」を実施しています。

 CSR監査は通常監査員2人で、現場や書類などを1日以上かけて確認します。監査の結果、問題が発見されたとしても直ちに取引を停止することはありません。適正な是正措置を考え、対話と働きかけによって状況が改善されることが重要だと考えています。我々が考えるCSR監査は、健康診断のようなものです。

ミズノでは中国などにある製造委託先工場を訪れ、人権や労働慣行、環境面について状況を把握するための「CSR監査」を実施している

――環境配慮型の商品の開発にも積極的です。どのような視点で取り組まれていますか。

水野 経営理念にある「社会貢献」には、スポーツのプロモーションという意味も含めています。

 当社の創業者である水野利八には折れないバットを作った逸話があります。今はルール違反ですが、導管の中に樹脂を通して、それを圧縮し、折れない長持ちするバットを作りました。

 当時、業界からは、「バットが折れなかったら売れないではないか」との声があったようです。ところが創業者は、当時、野球の普及が十分ではなかったので、折れないバットを作れば選手たちはあまりお金をかけずに野球ができる。マーケットが広がるのはよいことと考えたのです。

 こうした考え方は、現在もスパイクの先に超硬金属を付けたシューズなどにつながっています。