聞き手/斎藤 正一

P&GのDNAであるサステナビリティには環境保全と社会貢献の意味が含まれる。挑戦的な長期ビジョンを作成し、中期目標で3つ切り口から達成を目指す。

――プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、2010年に世界規模でサステナビリティの長期ビジョンを発表しました。挑戦的な内容を含んでいますが、長期ビジョンを出した背景と狙いは何ですか。

奥山 真司(おくやま・しんじ)
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&Gジャパン)
代表取締役社長
1989年早稲田大学教育学部卒業、同年P&Gファー・イースト・インク(現P&Gジャパン)入社。2008年ヴァイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー コリアを経て2012年7月から現職
写真/行友 重治

奥山真司氏(以下、敬称略) P&Gは、1837年に創業した歴史の古い企業です。その中で当社のサステナビリティという言葉には、環境保全に加えて社会貢献も含まれるとの考え方が根付いており、DNAの1つになっています。

 ただ、全世界の売り上げが約830億ドルの規模になると、どうしてもビジネスの部分で売り上げやシェアが重要になってきました。そこで創業当時から大切にしてきたサステナビリティという考えに立ち返り、大きなビジョンを作ったというのが背景です。

 「当社の工場の動力源を100%再生可能なエネルギーにする」「すべての製品および包装に100%再生可能材料、またはリサイクル材料を使用」(下図参照)などの目標は非常に挑戦的なものですが、あえて究極的な目標を掲げたわけです。

 このような目標は、限られた環境担当者だけが旗を掲げただけでは達成できません。社内だけでなく社外の方々にも協力をいただかなくてはならない。挑戦的なビジョンを持つということは、社員に対する意識付けであると同時に、社外に向けてパートナーを探していく宣言でもあるわけです。

■ P&Gの長期ビジョン

――長期ビジョンを達成していくために、2020年までの中期目標を設定しましたね。

奥山 中期目標は長期ビジョンを達成するためのマイルストーンです。「製品における環境保全」「事業活動における環境保全」「社会貢献」の3つのカテゴリーに分けて中期目標を作りました。

 例えば、製品における環境保全分野では、「製品と容器・包装に使用している石油由来の原材料の25%を、サステナブルに調達できる再生可能材料に置き換える」、事業活動における環境保全分野では、「当社工場での再生可能エネルギー使用を30%に引き上げる」など、どれも具体的な数字を掲げたのが特徴です。

――製品分野では、具体的にどのような取り組みをしていますか。

奥山 男性用かみそり「ジレット」の製品パッケージの素材を、石油由来の材料から植物などを原料とする再生可能材料に換える試みを進めています。現在、一部の製品で容器の主要部分に竹、サトウキビ、フトイなど生育の早い植物の繊維を成形したものを使っています。

 繊維素材の使用に当たっては、開封するときや流通段階などで加わる力に十分な強度を持つように設計しました。これからは植物などを原料とする再生可能材料を使用する分野を、徐々に増やしたいと考えています。

――事業活動の分野の取り組みでは、滋賀工場が進んでいると聞きました。

奥山 今年4月、世界に広がるP&Gの工場・施設の中で45施設が、埋め立てされる製造廃棄物ゼロを達成しました。「Waste to Worth」(ゴミを価値あるものに変える)のコンセプトで、各国で長期ビジョンを達成するために取り組んでいます。