マツダ
エンジン車の逆襲「スカイアクティブ技術」

29位(2011)⇒23位(2012)⇒13位(2013)

 2010年にマツダ独自の環境技術「スカイアクティブ」の実用化が始まってから、環境ブランド調査でのランキングは徐々に上がり、今回は前回の23位から13位に上昇した。

 スカイアクティブは、エンジン、トランスミッション、車体の3要素から成るマツダの燃費向上技術。自動車の主要パーツを一新して燃費の大幅な改善を目指したものだ。

 2012年2月に発売したSUV(多目的スポーツ車)「CX-5」は、同社がスカイアクティブに位置付ける3要素のすべてを初めて搭載した。クリーンディーゼル仕様車は排気量4.0Lの8気筒ガソリンエンジン車並みのトルクと、SUV中トップクラスの燃費性能(18.6km/L)を両立させた。発売9カ月で販売計画の3年分を超える3万7000台を受注。2012年度の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」をマツダ車では7年ぶりに受賞するなど反響は大きかった。

 マツダがスカイアクティブのベースになる技術開発ビジョンを発表したのは2007年10月。だが、「世間の反応は冷ややかだった」と工藤秀俊・商品戦略本部長は振り返る。ハイブリッド車や電気自動車など世界の低排出車開発は電動化を目指していた。マツダの戦略を電動化に乗り遅れた裏返しと見る向きは多かった。

 マツダと言えば、ロータリーエンジンを思い浮かべる人は多いだろう。同社が創業以来追求してきたのは快適な“走り”だ。エンジン技術には強い自負がある。だが、燃費規制が強まる中、環境技術なくして未来はない。本来、トレードオフの関係にあるエンジン車の走りと燃費の両立にマツダは生き残りを懸けた。

環境技術「スカイアクティブ」を全面搭載した「CX-5」。燃費を向上させたクリーンディーゼルエンジン、効率を高めたトランスミッション、軽量化したボディーおよびシャーシから成る

見直されるエンジン技術

 理論的にはエンジン車でもハイブリッド車並みの燃費が可能なことはつかんでいた。しかし、実現できるかどうかは別だ。マツダは2015年までに全車の平均燃費を2008年比で30%向上させる目標を掲げた。当時、エンジン開発の責任者だった工藤本部長は「従来のやり方ではとても達成できないと思った。仕事のプロセスを根本から見直した。技術者が口にする『ムリ』『できない』を封じ、実現への道筋だけを考えた。失敗したら会社はつぶれるという危機感があった」と話す。

 スカイアクティブが市場で評価されたのは、困難と思われていたレベルで走りと燃費の両立を実現したからにほかならない。世界の自動車は2020年時点でも内燃機関が90%を占めるという調査もある。「ベース技術を優先的に改良したうえで、段階的に電動化技術を採用していく」というマツダの戦略が、環境問題への有効なアプローチとして説得力を持つようになった。

 ハイブリッド技術を環境技術の核とするトヨタ自動車も、エンジンの熱効率向上を今後の大きな開発テーマに掲げている。エンジン車の改善が果たす役割の大きさを一般の消費者にも具体的に示したマツダへの評価が、環境ブランド調査にも表れた。エンジン車への独特のこだわりが同社のイメージ向上につながった。

 「これまでマツダ車は燃費が悪いという評価に対して、エンジン技術者は悔しい思いをしてきた。新エンジンの開発には正直、死ぬ思いで取りかかった。今は成果に自信を持っている。エンジンの改善にはまだ大きな余地がある」(工藤本部長)。マツダの未来はスカイアクティブの成長に懸かっている。