伊藤園
地域の営業を後押し「お茶で日本を美しく」

37位(2011)⇒46位(2012)⇒21位(2013)

 伊藤園の顔は何と言っても緑茶である。これまでもお茶を絡めた環境活動の発信には力を入れてきた。代表例は「茶殻リサイクルシステム」。緑茶飲料を製造する過程で年間に4万~5万tの茶殻が発生する。大部分は肥料や飼料にリサイクルする一方で、一部は茶殻の消臭性や抗菌性などを生かし、身近な製品への活用を広げてきた。活動は14年に入り、現在はキッチンペーパーなどの紙製品やゴミ箱、靴の中敷き、サンダルなど茶殻を混ぜ込んだ製品を30近く展開している。

 茶殻リサイクルは独自性が強く、他の飲料メーカーにはまねしにくい。しかし、大手ビール系などが展開する環境配慮型容器や自然保護活動に託した発信力のインパクトには及ばないのが現実だろう。

 環境ブランド力でライバルとの差を縮める糸口となりそうなのが、2008年に始めた「お茶で琵琶湖を美しく。」というキャンペーンだ。1年のうち3カ月間、関西6府県での緑茶飲料の売り上げの一部を滋賀県が推進する琵琶湖保全活動に寄付する。水質保全を目的に、湖畔に群生するヨシの生育を助けるために地域住民と社員が一緒に古いヨシを刈り取るイベントも実施する。ポイントは地域の環境活動を営業や販促活動に結び付けている点だ。

訪問営業と地域貢献を連携

 伊藤園は全国に配置した200の営業所から、社員が直接小売店を訪問して、商品を供給するルートセールスを営業の基本スタイルとしている。問屋に頼らないこの手法は流通面での手間やコストは重くなるが、店舗や地域の事情や情報を営業活動にきめ細かく生かせる利点がある。

 琵琶湖キャンペーンには関西地区のルートセールスを強化する狙いがあった。琵琶湖保全はこの地域では消費者の共感を呼びやすい。地域とのつながりを強めたい小売店にとっても地域貢献型のキャンペーンは受け入れやすい販促手法だ。

 店舗にはポスターなどでキャンペーンをアピールする商品陳列コーナーを提案し、期間中は地域のテレビ局からCMも流した。全国に比べて関西地区の売り上げが顕著に伸びる成果を上げた。毎年同じ取り組みを続け、琵琶湖保全に貢献する同社への認知が広がってきた。今回の環境ブランド調査でも地域別では関西で12位と高い評価を得ている。

 地域の環境貢献は伊藤園の営業体制と相性がいいブランド戦略であることが見えてきた。今、この手法の拡大に乗り出している。「お茶で日本を美しく。」というキャンペーンがそれだ。

 都道府県ごとに地域の環境保全団体や自治体と組み、緑茶飲料の売り上げの一部を自然保護活動の支援に当てる骨格は琵琶湖のケースとほぼ同じ。地域住民の保全意識が高いスポットを支援の対象にする。北海道であれば摩周湖などを対象とし、「お茶で北海道を美しく。」と銘打つ。2012年は21都道府県で実施し、2013年はさらに広げる。自社の特徴や強みを生かした工夫で、環境ブランド戦略の幅も広げられる。