樋口 武男 氏(写真:北山 宏一)

 何をしたら儲かるかではなく、世の中の役に立ち、喜んでもらえることを基軸に事業を考える。創業者、石橋信夫が説いた経営の考え方は、今も当社の根幹をなしている。

 明日の社会に不可欠の(ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・ノ)事業に取り組むことをスローガンに掲げている。アは安全・安心、スはスピード・ストック、フは福祉、カは環境、ケは健康、ツは通信、ノは農業を指す。いずれも社会にとって喫緊の課題を抱えている分野であり、事業を通じて課題解決に貢献することが当社の使命だと考えている。

総合生活産業を目指す

 CSRというと環境がクローズアップされることが多いが、すべての問題は互いにつながっており、多面的なアプローチが欠かせない。

 特に注目しているのは、福祉だ。2013年には自動排泄処理ロボット「マインレット爽(さわやか)」を発売した。要介護者にホースを接続した専用カバーを紙おむつの要領で装着してもらう。センサーが排泄物を感知すると、自動で吸引してベッド脇のタンクにためる。カバーの中で温水洗浄と温風による乾燥まで全自動で行うため常に清潔で、介護する人もおむつ替えの肉体的、精神的な負担から解放される。高齢化社会の課題に応える画期的な製品だ。

 開発・製造を担うエヌウィック(仙台市)に当社が出資し、総代理店契約を結んで事業化した。社会の課題解決につながる技術を持つ企業を、2014年も積極的に応援する。

 農業の分野にも力を入れる。世界人口は2050年に90億人を超える。食料の需要が増える一方で、国内では高齢化によって農業の担い手が減る。食料を確保するためには、農業を工業化し、生産性を高める必要がある。そこで、野菜を水耕栽培できる植物工場ユニット「アグリキューブ」を2012年に発売した。

 日本では人口減少に伴い、都市部でもビルの入居率が下がっていく。空いたスペースにこの設備を導入して野菜を作る「農業ビル」も実現可能だ。社会の変化を見通して、長期的な視野で事業に取り組むことがますます重要になっている。