半沢 智(日経エコロジー)

出力70MWを誇る国内最大規模のメガソーラーが稼働した。あらゆる気象条件に対応し、構築ノウハウと技術力で差別化を図る。

 2013年11月、鹿児島湾に面した埋め立て地に、巨大なメガソーラー(大規模太陽光発電所)施設「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」が誕生した。東京ドーム27個分という広大な土地に、29万枚の太陽光パネルが並ぶ。最大出力70MWで、2014年1月時点で国内最大の規模を誇る。プロジェクトの中心は、太陽光パネルメーカーの京セラである。

 京セラがメガソーラー事業を実施したのは、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)により、安定した収益が見込めるという理由だけではない。太陽光パネルの価格はここ数年、海外メーカーの参入により低下の一途をたどっている。こうした状況下でライバルに勝つためには、価格以外の付加価値を打ち出せるかどうかが鍵になる。同社はメガソーラー事業を、その付加価値のヒントを得るための絶好の機会と位置付けた。

技術力と総合力をアピール

 FITが始まり、メガソーラー事業を検討する事業者が増えている。ただし、事業者の要望に応えるには、資金集めから設計、構築、運用、保守などの問題を解決するための知識や技術が求められる。ノウハウを取得するのに最も手っ取り早いのが、メガソーラー事業を自ら経験することだ。京セラの太陽電池の能力を最大限に引き出すためのパネルの設置方法や、パワーコンディショナーの接続方法といった各種ノウハウも習得できる。

 技術力のアピールも狙った。同社が強みと自負しているのが、悪条件でも故障しにくく、20年間を通じて発電量を維持できる「長期信頼性」である。ソーラーエネルギー事業本部の池田一郎マーケティング部長は、「メガソーラー事業は、パネルメーカーとして長年培ってきた自社の技術力をアピールできる格好の場」と話す。

 メガソーラー構築プロジェクトは、2011年後半から実現に向けて具体的に動き出した。用地探しから始め、日本全国から日照量が多い地域を選び、自治体に声をかけていった。すると鹿児島県の担当者から、「40年前に造船所用に造成した埋め立て地が、今は遊休地になっている」と打ち明けられた。埋め立て地の所有者はIHIだった。さっそく相談してみたところ、IHIもメーンバンクのみずほ銀行と、遊休地を活用したメガソーラー事業を検討していることが分かった。鹿児島県と3社それぞれの思惑が一致し、メガソーラー建設に向けて本格的に動き出した。

 ただし、計画から施工までには乗り越えなければならない壁がいくつもあった。何しろ、最大出力70MW、総投資額270億円という超巨大メガソーラーの構築は国内で前例がない。鹿児島の厳しい気象条件が、事業性評価の段階で問題となった。

29万枚のパネルが並ぶ超巨大メガソーラー
■ 鹿児島七ツ島メガソーラー発電所の概要
写真:京セラ
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