谷口 徹也(日経エコロジー編集長)

「国連グローバル・コンパクト」参加など、先端的なCSRに取り組む。働くことのゴールを世界の社員に見せ、やる気を引き出す狙いがある。

髙橋 紳哉(たかはし・しんや)
1955年静岡県生まれ。79年群馬大学工学部卒業、ユニ・チャーム入社。商品開発や新規事業開発、マーケティングなどを担当し、2000年執行役員となり知財部長、2004年知財法務部長、2010年常務執行役員企画本部長、2012年1月から現職

 「上場したばかりで高い成長力が見込める」。大学時代の就職活動中、ユニ・チャームにそんな魅力を感じて入社した。実は「社名が横文字で、知名度が高い」ところにもひかれたと笑う。専攻は化学繊維だったから、大手の繊維メーカーも念頭にあった。だが、原材料の研究ではなく、より消費者に近い商品開発がやりたいと考えた。

 同社は生理用品や紙おむつのイメージが強いが、開発の現場でそれらを直接、担当したことはない。主に手掛けたのは、当時、力を入れていた洗剤や芳香剤などの新規分野だ。自ら開発したものの1つに家庭用排水パイプの洗浄剤がある。現在は、提携した米メーカーに事業を移管したので自社ブランドでの販売はしていないが、今も自負する成果の1つである。

 役員になってからは、まず知的財産を担当した。海外事業が拡大している時期に、会社の無形資産やブランドを守る重要な部署である。「ものづくりの現場に近いところで働いていたから土地勘はあったが、法律面では知らないことばかり。ひたすら勉強した」と振り返る。その後、企画本部長を経て、2012年に業務改革本部長兼CSR部長となったのが環境/CSR分野に携わるきっかけとなった。

 ユニ・チャームは、持続可能な成長を目指す企業による国際的な取り組み「国連グローバル・コンパクト」に参加するなど、先端的なCSR(企業の社会的責任)活動に積極的な企業である。

 社会課題の解決に貢献することを企業理念に掲げていることが大きな理由だが、自身が担当して改めて感じたメリットがある。「社員が日頃活動する際、『ゴールのイメージ』が見えやすい」という点だ。

 例えば、世界を見渡せば、生理用品の普及や使用感の向上は、女性の社会参加に大きな役割を果たしている。個人の生きがいはもちろん、女性の収入拡大や雇用の確保にもつながる。新興国では教育活動の支援もする。こうしたユニ・チャームの姿勢が認知され、共感を受ければ、徐々に豊かさを手に入れた消費者が同社製品に手を伸ばしてくれる。その循環を作り上げることが仕事だと認識することが、社員一人ひとりのやる気ややりがいを高めてくれる。

 CSR部は、自社の考え方や取り組みを分かりやすく継続的に発信することが肝要だ。「社内で、知る人ぞ知る活動ではだめ。全世界で働くグループ会社の社員2万人に情報と意識を共有してもらい、この会社で働くことの誇りを伝えていきたい」と語る。