田中 太郎(日経エコロジー)

衛星画像や航空写真、地図データなどの「空間情報」を活用。画像データを読む力で災害からの復旧や防災計画づくりに貢献する。

 地震、台風、集中豪雨、大雪、竜巻…。日本は世界でも有数の“自然災害大国”だ。私たちが持続可能な社会を築くには、災害を防ぐための備えや、被害を減らすための取り組みが欠かせない。

 災害発生時、被害の拡大を防ぐには、一刻も早く被害の状況を把握する必要がある。そこで力を発揮するのが、衛星画像や航空写真、地図データなどの「空間情報」だ。

 日本アジアグループの国際航業(東京都千代田区)は、これらの空間情報を活用して被害の状況を把握し、国や自治体などに情報を提供することで、災害時の緊急対策や復興計画の立案に貢献する。さらに、社内に蓄積したデータを基に、地域の防災計画の立案に参加するなど、日本の防災・減災対策に深く関わる。

災害時、すぐに行動

 災害が発生すると、人工衛星から送られてくる衛星画像や、航空機やヘリコプターが撮影した航空写真を解析・処理し、災害対策に役立つような形にして国や自治体、研究機関に提供する。衛星画像を配信する公的機関や企業とネットワークをつくっており、そこから衛星画像を調達する。航空写真は、同社が確保している航空機などが撮影する。

 「天候などの条件が整っていれば、その日の夜中までに画像を処理して提供することもある」と、原口勝則・東日本事業部第二技術部部長は説明する。人命に危険がある場合、災害発生時から72時間を超えると生存率は急激に低下するといわれる。いち早く情報を共有することが、救助に役立つ。

 2011年3月11日に起こった東日本大震災でも、同社の動きは素早かった。被災地域があまりに広かったため、まず広域の衛星画像で被害地域を特定してから、高解像度の衛星画像で被害状況を把握した。仙台空港にあった同社の関連会社が持つ航空機が被災したにもかかわらず、別の航空機を手配して、震災翌日には航空写真を撮影した。

 ただ、この時は画像の処理は即日というわけにはいかなかった。地震と津波の影響は、地形すら変わってしまうほど大きかった。このため、どれだけ座標がずれたのかを国土地理院が発表するのを待って画像を補正する必要があった。「2~3日かけてできたものから提供していった」(原口部長)。

 衛星画像を解析した結果、水に沈んでしまった地域や、がれきが分布している場所を明らかにしたのが下の写真だ。青色の部分は水のあるところ、黄色の部分はがれきが分布している場所を示している。

 これらの情報提供は、ビジネスに直結するものではない。「空間情報コンサルティング会社の責任として行っている」と原口部長は言う。しかし、災害時の貢献が国や自治体の防災計画の立案やハザードマップ作りなどに参加するうえでの関係強化に役立っている。CSR(企業の社会的責任)がビジネスに役立つ事業といえるだろう。地域住民と一緒にハザードマップを作り、防災に対する意識を高めてもらうような取り組みも実施している。

震災直後に被害の状況を把握する
■ 衛星画像による東日本大震災の被害状況
2011年3月の東日本大震災直後に東北地方の状況がどうなっていたかを衛星画像を処理して分かりやすく表示した。赤く見えている部分は森林や草地などの植生、青色の部分は水のあるところ、黄色の部分はがれきが分布している場所を示す