「インフラ崩壊」への対策も

 国際航業の歴史は終戦直後の1947年から始まる。以来、航空写真測量の草分けとして正確な地図を作るための空間情報の活用を事業の柱にしてきた。ここ数年、約300億円の売上高を安定して確保している。

 衛星やセンサーの技術開発の進展とともに、同社が取り扱う画像データの幅も、大きく広がってきた。同社の強みは長年のデータの蓄積とともに、撮影・計測した画像を読む力。社内には700人以上の技術者を抱え、正確なデータの解析に取り組んでいる。

 高解像度の画像を得る技術としては、例えばSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)がある。人工衛星や航空機からマイクロ波を飛ばして、反射率の違いから地質を判断するものだ。地質が分かれば、土砂崩れが起きやすい場所などを特定したりすることができる。マイクロ波を使うため、天候が悪くても現場の状況を把握できるというメリットもある。

 異常気象が急増している現在、特に超大型台風やゲリラ豪雨で引き起こされる土砂崩れの被害を防ぐことが緊急の課題になっている。そこで、兵庫県や神戸大学、応用地質と2013年度から取り組んでいるのが、雨量データと地形モデルを組み合わせ、土砂崩れなどの被害をリアルタイムで予測するシステムの導入だ。地域の住民を土砂崩れの被害から守ることが期待されている。「予測制度は十分に実用段階に達している」と、原口部長は言う。

 戦後の高度成長期に整備された国内のインフラが急速に老朽化している「インフラ崩壊」の問題でも、同社の測量技術は生かされる。

 例えば、車両に搭載した計測システムを使って画像やレーザーデータを取得し、地図情報と合わせるMMS(モバイルマッピングシステム)という技術だ。道路や橋梁などの傷んだ部分を効率的に見分ける。

 最近、急速に技術が進化したUAV(無人航空機)を使った構造物の点検にも着手している。今年2月には、国土交通省関東地方整備局と協力して、江戸川河川敷での実験調査を実施した。「人の目が届かない高所などでの調査に力を発揮する」と原口部長は説明する。

 首都圏直下型地震や南海トラフ地震などの大規模地震の発生が予想されている現在、防災対策は待ったなしだ。さらに、2020年の東京オリンピックに向けて、インフラの再整備も急を要する。空間情報を使った防災・減災への取り組みがますます重要になっている。

2011年9月に和歌山県を襲った台風12号によって引き起こされた土砂災害を調べるために那智勝浦町の現場を調査するスタッフ