外薗 祐理子(日経エコロジー)

従業員の健康増進を図ることで企業の生産性を上げる「健康経営」が話題だ。政投銀は環境格付、BCM格付に次ぐCSR関連格付として運用する。

 「健康経営」という言葉をご存じだろうか。環境経営やBCM(事業継続マネジメント)、人権リスクへの配慮などに次ぐCSR(企業の社会的責任)経営の新しい動きである。

 健康経営とは、従業員の健康管理を経営課題として捉えて、その実践を図ることだ。個人任せにしてきた健康管理に企業が積極的に関与することで、従業員の健康増進と会社の生産性向上を図る。

従業員の健康の維持と、企業の生産性を両立
出所:日本政策投資銀行

 1980年代に米国の経営心理学者であるロバート・H・ローゼン氏が「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」と提唱したのがきっかけと言われる。欧米の産業界では既に広まっている概念だが、日本では最近、にわかに脚光を浴び出した。

 日本政策投資銀行(政投銀、DBJ)は、2012年、「DBJ健康経営格付」をスタートした。企業の健康経営の取り組み具合を評点化し、融資条件に反映させるというもので、世界で初めての融資メニューだった。

 企業から健康経営格付融資の申し込みがあると、通常の企業審査と並行して、健康経営のためのスクリーニングを実施する。具体的には、企業に対して120問からなる健康経営の質問表を渡す。その回答を基に、政投銀の融資担当者が企業にヒアリングする。得点率が60%以上あれば、従業員への健康配慮の取り組みが「特に優れている」として、Aランクがつく。得点率が45%以上60%未満であれば、取り組みが「優れている」Bランク、得点率が30%以上45%未満は取り組みが「十分」なCランクに分類される。30%未満は「対象外」だ。

 AランクとBランクはそれぞれ優遇金利を受けられる。優遇金利は公表していないが、資金の使い道に条件は設けていない。健康経営格付融資の「対象外」になっても、一般の融資まで拒まれるわけでもない。「金利優遇という分かりやすいインセンティブ(誘因)を設けることで、企業の健康経営を後押ししたい」と、健康経営格付を開発した大井孝光・環境・CSR部課長は話す。

約120の質問に企業が回答する
出所:日本政策投資銀行