【インタビュー】

関心は商品から企業へ 会社の姿勢の見せ方を検討

河口 真理子氏[大和総研調査本部主席研究員]

河口 真理子(かわぐち まりこ)氏
一橋大学経済研究科修士課程(環境経済)を修了後、大和証券に入社。大和総研に転籍後、環境経営、SRI(社会的責任投資)、CSRの調査に従事する。2010年から大和証券グループのCSR室長と大和総研の環境・CSR調査部長を歴任した。2012年から現職(写真:中島 正之)

 人々はもうエコという言葉に飽きてしまった。自動車ならクリーンディーゼル、ハイブリッド、電気自動車、……と出そろった。興味は「商品のエコ」から「会社全体のエコの姿勢」に移っているのではないか。例えばサントリーは会社として森を保全している、水を守っている、と打ち出している。自動車や家電はやや事情が異なるが、製品のエコ性能と会社のエコな姿勢の両方のセットが必要になるのだろう。

 ランキングで上位に来ているのは、本業と社会貢献活動とイメージがマッチしている企業だ。トヨタ自動車はプリウスから始まり、すっかりエコカーのブランドを確立した。イオンは環境や社会に配慮したフェアトレード認証の商品やMSC(海洋管理協議会)認証の商品などを製品化する一方、森づくりのような社会貢献活動もしていてバランスがよい。

 商品のエコ度を考えると、モスフードサービス、味の素、伊藤園、カゴメはもっと上位に来てもよいのではないかと思う。モスは食材への環境配慮や食品リサイクルを進めている。味の素はほんだしの原料であるカツオを守るための生態系調査をしており、「自然の恵みを食べ尽くす」というストーリー性のある取り組みをしている。伊藤園は伝統的なお茶の普及や茶殻リサイクルを進めていて、地道な取り組みをしていると感じる。

 カゴメは持続可能にトマトを栽培できるよう、7000種のトマトの種子を保管している。気候変動が起きても、工場を閉鎖したり移転したりせずに雇用を維持し、種子を切り替えて対策する。あまり発信していないが、知る人ぞ知る良い取り組みだ。

 環境ブランド調査の結果を同業他社で比較するのも、一般の人のイメージがよく分かって興味深い。スターバックス・コーヒー・ジャパンより日本マクドナルドが、ローソンよりセブン-イレブン・ジャパンが上位なのは意外だった。ANA(65位)とJAL(95位)は結構差がついていることや、嫌煙が進んでも日本たばこ産業(JT)が21位と上位なのは新しい発見だった。

 一方、三菱地所と三井不動産は、こと東京駅周辺のエコビルを見た印象に限れば、三菱地所の方がビルが森と共生して生物多様性に配慮しており、エコな発信力が高い。スコアにはそうした印象が反映していると思う。

 本業で環境配慮の商品やサービスを提供しているにもかかわらず、ランキングが低かった企業は、会社全体の姿勢をいかに見せるかをもっと検討したらよいのではないだろうか。消費者のイメージもまた、重要なステークホルダーの声である。消費者が喜んでくれれば、営業にフィードバックされ、社内に環境の取り組みを増やすインセンティブ(誘因)が生まれる。イメージが上がれば、そのイメージに見合った本業の取り組みがさらに加速され、良い循環が生まれるだろう。 (談)