聞き手/谷口 徹也(日経エコロジー編集長)

ISO14001などマネジメントシステムの認証機関として国内最大。2015年の大型改正を弾みに、労働安全衛生やCSRなどへの展開に期待する。

――日本品質保証機構(JQA)は、環境マネジメントシステム(EMS)規格ISO14001の審査認証機関として国内最大規模で、シェアが約16%です。しかし、国内での登録件数は、この数年伸び悩んでいると聞きます。

小林 憲明(こばやし・のりあき)
一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)理事長
1953年神奈川県生まれ。77年東京大学経済学部卒業、通商産業省入省。独立行政法人産業技術総合研究所理事などを経て、2007年財団法人日本品質保証機構顧問。理事、専務理事の後、一般財団法人に改組後の2014年7月から現職
写真/尾関 裕士

小林憲明氏(以下、敬称略) ISO14001の登録件数は2万5000件くらいで、横ばいです。新規の申請と取り下げが拮抗して、件数の伸びが止まった状況と言えます。ちなみに、品質マネジメントシステム規格のISO9001の登録件数は約5万件で、若干の減少傾向にあります。

 ISO14001の伸びが止まった大きな理由は、必要性が高い企業の取得が一巡したことです。できてから、もう20年近くたちましたからね。また、産業構造の変化もあります。以前は、今に比べて取引先との関係が密接で、例えば、親会社が子会社に取得を指示したり、その支援をしたりしていた。その構造が崩れ、中小企業を中心に認証を取得しないところが出てきました。

 2008年のリーマンショックも大きかった。景気が低迷して企業業績が上がらないなか、コスト削減の対象にされてしまった。担当者が経営トップから費用対効果を追及されて、やめてしまった企業の例も聞きます。

 品質のISO9001は、海外との取引があれば絶対必要になりますが、ISO14001はそこまで求められていない。公共投資による建設案件などで、ISO14001取得が入札の条件になっていれば普及も進むのでしょうが、そういう流れにはなっていません。

 サービス業では、そもそも日常的な汚染対策などがない。いわゆる「紙・ごみ・電気」への対策を一通り終えてしまうと、ISO14001から“卒業”したような気になる。我々はこれを「やり尽くし感」と言っています。

企業にとって「役立つ審査」に

――ISO14001取得の拡大を図る対策は。

小林 基本的な方針は、企業の経営にとって、より役立つ審査になることです。具体的に言うと、これまでは先に規格ありきで、そこに社業を当てはめるイメージが強かった。しかし、ISOはあくまで企業の目的を達成するためのツールで、社業を発展させるためにあるのです。我々はそれを実現する審査をする。これが王道です。

 そのためには、審査員が社業をよく理解して、業界の状況を踏まえた視野の広い審査を目指したい。改善活動に「気づき」を与えるようなものです。

 もう1つは審査の負担軽減です。これは時間的なものと金銭的なものがある。例えば、製造業で工場ごとに認証を取得していたケースでは、統合して1つの認証で済むようにする。マネジメントから現場まで総合的に見られるので、企業にもメリットがあります。

 ISO9001、14001などには共通の審査項目もあります。経営トップのインタビューや、組織の概要説明などです。これらを1回で済ませる統合審査にすれば、日数が減らせるし、負担も軽減されます。

 あとは、製品含有化学物質のマネジメントなど、ISO14001に関連するサービスも顧客ニーズに応じて提供していきたい。これらを組み合わせることで、ISO離れを食い止めたいと思います。