吉岡 陽(日経エコロジー)

アジア最大の製紙会社であるインドネシアのAPPグループ。
持続可能な開発を実現するために、経営方針の大転換に挑んでいる。

 インドネシアの総合製紙会社、アジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループ(APP)は、世界最大級の生産量を誇り、日本市場でもコピー用紙で大きなシェアを握る。これまで森林伐採による環境破壊が問題視されてきたが、APPは持続可能な開発を目指して経営方針を大きく転換し始めている。

国際的な批判を受けて

 これまで同社は、紙の原料にインドネシアの熱帯雨林を伐採したパルプを使用してきた。こうした熱帯雨林には絶滅が危惧される動植物が多数生息しており、環境破壊が問題になっていた。また、先住民族や地域社会との間で、開発地域の土地利用を巡る紛争も度々起きていた。

 そのため、世界の環境NGO(非政府組織)から批判を受け、一部の国で不買運動に発展したケースもあった。こうした流れを受けて日本でも大口の顧客が取引を打ち切るなどの事態に発展した。

 インドネシア政府から開発権を取得したAPPは、常に国内法を順守しながら開発を進めてきたという。しかし、希少生物の宝庫である熱帯雨林で、そうした自然資本に大きく依存している企業にとっては、合法であるというだけでは企業の社会的責任(CSR)を果たしたことにはならない。そのことをAPPは国際社会から問われていた。

 こうした批判を受けてAPPは、ついに持続可能な成長に向けて経営方針を大きく転換することを決断した。2013年2月5日、同月以降、自然林の伐採を全面的に中止することを明記した「森林保護方針(FCP)」を発表した。

スマトラ島リアウ州のペラワン工場には、紙の原料となる膨大な量の木材が運び込まれる
ペラワン工場では、日本向けのコピー用紙が大量に生産されている