聞き手/田中 太郎(日経エコロジー編集長)

現場のアイデアを生かす地道な環境CSR活動で外部から高い評価。時流に乗らずコツコツと。「愚直」は褒め言葉だと言い切る。

山名 昌衛(やまな・しょうえい)
コニカミノルタ取締役代表執行役社長
1954年兵庫県生まれ。77年早稲田大学商学部卒業、ミノルタカメラ(現コニカミノルタ)入社。2002年執行役員企画本部経営企画部長、2003年コニカミノルタホールディングス常務執行役、2013年コニカミノルタ取締役専務執行役、2014年4月から現職
写真/尾関 裕士

――日本経済新聞の環境経営度調査で6位、WWFジャパンの温暖化対策ランキングで4位を獲得するなど、環境への取り組みが外部から高く評価されています。どのように自己分析されていますか。

山名昌衛氏(以下、敬称略)「Dow Jones Sustainability World Index」や「FTSE4Good Global」といったSRI(社会的責任投資)指標の構成銘柄に選ばれるなど海外の機関からも評価をいただいており、大きな励みになっています。まじめにコツコツと継続するのが当社の体質、風土です。その結果としての評価だと受け止めています。

 ただ、ランキングが高いことはうれしいのですが、気にしすぎるのは良くないとも考えています。環境への取り組みはサステナブルでなくてはいけませんよね。こればかりはトップダウンというよりも、現場がその意義と責任を理解して、改善を積み重ねていくしかありません。時流に乗って対策にメリハリをつけ、高い評価を得てマーケティングの道具に使うといったものではないと考えています。外部からの評価を謙虚に受け止めて、強みを磨き、課題を改善し続けていきます。

「中計よりもCSR」の理由

――時流や経営環境の変化に左右されずにまじめに継続するためには秘訣があるのですか。

山名 社会に支持されてこそ経営はサステナブルになるという考えが、信念としてあります。企業が存在する意義を社会に認められるには、たくさん儲けて株主に還元し、従業員の生活を豊かにするといった経済の側面も重要ですが、その前に地球環境や社会に対する役割をまず果たさなければなりません。そうしたことの大切さを伝えるには、トップのふるまいが大切です。現場がコツコツ続けるボトムアップに加えて、トップの率先垂範の両方が必要なのだと思います。

――7月に報道機関向けにCSR方針説明会を初めて開かれました。中期経営計画は説明会を開かなかったのに、CSRについてはご自身で説明されたんですよね。

山名 CSR方針説明会は、等身大の姿をお話ししたいと思い、私が言い出しました。実は、これはグループ社員へのミラー効果も狙っています。CSRについて社内で語っていることと同じ内容を社外に向けても説明することによって、単なるお題目ではなくトップは本気で考えていると感じてもらいたかったのです。

 説明会の中で、再生プラスチックをコピー機の外装材に使う中国での取り組みなど、いくつかの事例をお話ししました。中には、短期的には業績に結びつかない息の長い取り組みもあります。そうしたものを大切にしたい。トップがそこに目を向けることで、取り組みに弾みがつくと思うのです。

 例えばフランスの販売会社では、走行距離に応じてアフリカのエチオピアで植樹を行う「グリーンマラソン」に従業員たちが参加しています。地域からのボトムアップで始まった取り組みです。

 CSRに関する新たな知恵で始まる活動はグループ内にアンテナを張らないと集まってきません。当社は2008年から「simply BOLD」(大胆な発想と勇気ある挑戦)という活動を続けてきました。その事例を世界から集め、グループで共有できるようデータベース化して、イントラネットからアクセスできるようにしています。

 社内表彰制度も設けています。世界で上位の事例は東京で発表会を開き、私も全ての発表を聞きます。前回はそれぞれの活動があまりにも素晴らしかったので、上位の全ての事例に金賞を授与するという大盤振る舞いをしてしまいました。

 CSR方針説明会で紹介した中国でのプラスチックのリサイクルも表彰事例です。

使用済みのプラスチックを資源として積極利用
中国ではペットボトルやウオーター・サーバー用のガロンボトルのプラスチックを再生し、コピー機の外装材に利用。表面積比で40%の利用率に達している機種もある。
注:PCはポリカーボネート