難しくなる省エネ、新しい発想で考え続ける

――製造プロセスの環境対策について聞かせてください。鉄鋼業界ではこれまでCO2の排出を抑える様々な設備を導入してきました。ただ、ここ数年は省エネ・CO2削減効果は原単位でも頭打ちのように見えます。

小倉 どの製造業にも共通することだと思いますが、かつては工場内に余剰のエネルギーがあり、それを活用すれば、CO2の排出が減り、コスト削減につながりました。いわば「環境と経済の両立」を実現させやすかったのです。しかし、省エネを進めてきた結果、以前よりも省エネ対策にコストがかかるようになり、環境と経済を両立させにくくなっているのが現状だと思います。

 さはさりながら、我々は従来の発想の延長線上にはない新しい方法を常に見つけ続けています。その一例が「Super-SINTER」です。鉄の製造プロセスには、まず粉状の鉄鉱石を塊にするための焼結工程があります。ここでは1000℃以上の高熱を使うので、排熱を回収して他の設備で利用します。ここまでは当たり前の発想ですよね。当社が開発したSuper-SINTERは、焼結反応を進めるために入れるコークスの一部を水素系ガス(LNG)で代替することによって、温度を上げ過ぎずに最適な温度で長時間、焼結反応を持続させる技術です。エネルギー効率が大幅に高まるので、京浜地区だけで最大で年間約6万tのCO2を減らせます。コークスの代わりに水素系ガスを使うなんて、従来にはない全く新しい発想です。発想を転換すれば、技術開発のタネはまだまだ出てくるでしょう。

――乾いたぞうきんも絞り方を変えればまだ絞れるということですか。電気料金も高騰し続けていますから、省エネ技術はますます重要になりますね。

小倉 製鉄所では大規模な自家発電設備を持っていますが、発電効率が非常に高いGTCC(ガスタービン複合発電)の導入を進めています。

――鉄連の支援で鉄鋼メーカー5社が組む業界横断的な取り組みもありますね。製鉄プロセスのCO2排出量を約30%も減らす目標で「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」を進めており、JFEスチールも中核メンバーの1社です。

高炉ガスからCO2を分離するための「CO2物理吸着プラント」。鉄鋼メーカー5社が進める「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」の1つだ

小倉 どのような技術を開発しているのか簡単に説明すると、製鉄原料の1つであるコークスは石炭を蒸し焼きにして作りますが、その時に発生するガスには水素が約半分入っています。この水素を触媒によってさらに増幅して高炉に入れます。炭素の代わりに水素で鉄鉱石を還元するとCO2は大幅に削減できます。さらに、それでも出てくるCO2は分離・回収して地中に埋めようというプロジェクトです。2030年までに実機化する計画です。