2国間クレジットは効果を実証する段階

――海外に目を向けると、インドネシア新工場を建設するなどアジアへの展開を進めていますが、こうした工場にも省エネ技術を導入されるのでしょうか。

小倉 新工場には最新技術を入れています。顧客企業の進出に合わせて工場を建てるので、基本的には日本と同じ水準を求められます。また、インド大手のJSWスチールなど、提携先の以前からある工場に省エネ技術などを導入するケースが多くあります。

 京都議定書では、途上国で温室効果ガスの削減を進めて自国の削減目標達成に算入できるCDM(クリーン開発メカニズム)という制度がありましたが、国連に認めてもらうためには非常に手間がかかるという問題がありました。そこで先進国と途上国の2国間で進める2国間クレジットメカニズム(JCM)という方法が考え出されたわけですが、提携先に環境技術を導入する際などにJCMを活用できる可能性があると思います。複数の事業性調査(FS)を実施してきました。

――JCMは今後、どのような展開になりますか。

小倉 今は新しい仕組みを国連に認めてもらおうとしている最中で、出てきた排出枠の取り扱いもどうなるか分かりません。まずはFSを進めて、将来に向けた体制を整えておく段階です。言い換えれば、どれだけ効果が上がるのかを実証している段階です。

――温暖化対策では、電源構成が明示されないなど国のエネルギー政策が固まっていない中、経団連は2020年以降の新しい自主行動計画である「低炭素社会実行計画フェーズII」の策定を表明しました。もう待てないという産業界の気持ちの表れでしょうか。

小倉 恐らく国には2015年6月のサミット(主要国首脳会議)までに何とかしたいという思いがあるのでしょうけれど、産業界としてはいつ新しい計画を示すかはそれほど大きな問題ではないと思います。それよりも、気候変動条約の次の枠組みが京都議定書のように一部の国しか参加しない不公平なものになるのか、それとも全ての国が参加するものになのるかが重要です。それによって国の目標の打ち出し方も変わるのではないでしょうか。ありがたいのは産業界が進めてきた自主行動計画を国がとても評価していることです。実際に鉄鋼業界では2010年度までにエネルギー使用量を1990年度比で10%削減するという目標を達成しています。このやり方が良いと認められてきていると思うのです。そういう意味では、できるだけ早い段階で産業界の姿勢を説明できる形が望ましかったと言えます。

――JFEスチールでは高炉の還元剤として廃プラスチックを活用するなど資源循環にも貢献してきました。ただ日本全体で見ると、欧州のような静脈メジャーは登場していません。

小倉 セメント産業が有名ですが、大手企業がリサイクル事業を始めているし、自動車業界などでも再生材を使っています。資源循環が当たり前になり、それほど進んでいないように見えるのではないでしょうか。規模の小さな廃棄物処理業者がリサイクル事業を実施しているケースが多く、数字上では目立たないのかもしれません。しかし、これからも資源循環は着実に進むと思います。

写真:鈴木 愛子