MOSに取り組むのは時代の要請

――独自の経営手法を「KAITEKI経営」として社内外に打ち出しています。

小林 化学大手の独BASFはかつて、まだ公害があった時代に化学は社会に貢献できるんだという信念の下「ザ・ケミカルカンパニー」と堂々と宣言しました。米デュポンは「サイエンス・カンパニー」を掲げ、御旗を立てました。様々な分野で事業を展開する化学会社には、社員が共通して持ち得る旗が必要です。何のために三菱ケミカルグループに集っているのか考え続けてきた結果、KAITEKIに行きついたのです。ただ、日本語の「快適」ではただのコンフォートでしかない。3次元の価値を含めた広い概念としてアルファベットで「KAITEKI経営」と名付けました。

写真:尾関 裕士

――KAITEKI経営は、米ハーバード大学経営大学院教授のマイケル・ポーター氏が提唱するCSV(共通価値の創造)と似た考え方ですね。

小林 同じだと思いますが、ポーター教授よりもうちの方が早いんじゃないですか。本業を真剣にやることによって社会に貢献することが、われわれの会社の価値です。それが、もうけの数値(MOE)にも出るだろうし、MOSにも出る。グループ会社の評価を見ると、やはりもうかっている会社はMOSもいいんですよ。最初は、CO2を減らすにはコストがかかるのでもうけが減るだろうとみんなが言ったのですが、それは違った。MOSのセンスを持った会社こそ明らかに内容がいいんです。

――もうかっているから環境対策に力を入れられるという見方もできますね。

小林 それもあるかもしれない。そこを検証していきたいんですよ。地球がどん詰まりに来た中での経営というのは今まで誰も経験していません。ここに取り組むのは時代の要請ですよね。

――丸3年が経過し、会社は変わってきたのでしょうか。

小林 先ほどの3次元軸で言うと、これまではMOEだけで、予算に対してどれだけクリアしたか、キャッシュフローはどれくらいあるか、中長期計画をどれだけ達成したかで部署を評価し、ボーナスに反映してきました。2014年度からは、MOSの達成度も評価に入れるようにしたので、少しは社内も本気になっていると思います。ボーナスに効くのかと。比率はまだ9:1ですけどね。本当はいずれ7:3ぐらいにしたいと思っています。