泉谷 直木 氏(写真:中島 正之)

 2013年に策定した「長期ビジョン2020」では、「『食の感動(おいしさ・喜び・新しさ)』を通じて、世界で信頼される企業グループを目指す」を目標に掲げた。このビジョンの実現のために、「中期経営計画2015」を作成した。2015年はその最終年に当たる。

 中計の大きなテーマは、企業価値の向上だ。企業には財務的な価値と社会的な価値がある。財務的な価値は定量化できるが、社会的価値は見えづらい。これまで社会的価値の面ではCSR(企業の社会的責任)として社会にどのように貢献するかを考えてきた。今後は社会的課題の解決に向けた取り組みをしていきたい。

 私たちのグループでは「食と健康」「環境」「人と社会」をCSRの活動領域に定めている。まずは、こうした分野で課題の解決に取り組んでいく。

 私たちが事業の中で利用している水の問題についても、水源の確保から工場の排水まで考えなければならない視点は少なくない。例えば、工場の排水を取水した時よりも、きれいな水にして戻すことができれば社会の水問題に対して一歩進んだお返しができる。このほか世界の水不足に対する支援もしていきたい。

コミュニケーションが大切に

 社会的課題の解決に取り組むには、社会とコミュニケーションを取りながら進めることが大切になる。現在、アサヒグループはCSRコミュニケーションレポートを作成している。2015年は統合報告書の作成の検討を始めたい。統合報告書を出すことで、課題を解決するためのプロセスが見えるようになる。

 2015年、アベノミクスによる国内景気の循環がうまく回り出せば、デフレの時代を脱却し次のステージに入るだろう。新しい時代には経営、技術、商品開発などすべての面でのイノベーション、企業・商品両面でのバリューアップ、グローバル・マネジメントが必要だ。2015年は、この3つの軸を基本に経営の舵を取っていく。

 そのなかでESG(環境・社会・企業統治)の面では、アサヒグループの社会的価値をどのようにすれば上げることができるかを追求していきたい。