中島 肇 氏(写真:中島 正之)

 2014年はキリンビールとキリンビバレッジ、メルシャンを統合したキリン株式会社が発足して2年目だった。生物資源、水資源、容器包装、地球温暖化の4本柱から成る長期環境ビジョンに向け取り組みを進めた。

 地球温暖化では、CDPで温暖化対策の情報開示と実績の両方で優秀企業に選ばれた。そのCDPが森林や水の管理の評価も始めている。こうしたグローバルな外部機関とのつながりを大切にして、生物多様性や水資源の保全を促進したい。

 特に調達活動では生物多様性の保全を意識している。「午後の紅茶」の茶葉を生産するスリランカの農家に対し、生物多様性などに配慮した農法を証明する「レインフォレスト・アライアンス(RA)認証」の取得を支援してきた。2013年の15農園から2014年は50農園に広げた。RA認証のコーヒーも発売した。

 ビールの国産ホップ農園では農地の生物多様性調査を始めた。メルシャンのブドウ農園では環境負荷の小さいブドウ栽培を進めており、自然を守りながら活用する里山システムの保全につなげたいと考えている。

機能性表示食品でCSVを検討

 サプライチェーン全体が自然に及ぼす影響を知るため、「自然資本定量評価」を始めた。その結果、水ストレスの大きいオーストラリアなどで水使用量が大きいことが分かった。節水など既存の対策の再確認と今後対応すべき地域を明確化し、メリハリのある投資につなげていく。

 容器包装では、国内最軽量の380gのビール中びんを日本山村硝子と共同開発し、九州でテスト展開を始めた。10年間で全国のすべてのビール中びんを切り替える予定だ。

 2015年は社会課題の解決と企業の成長を両立させるCSV(共有価値の創造)を練り直す。注目している分野の1つが「機能性表示食品」だ。国の審査ではなく企業の責任で健康への効果などを食品に表示できる制度が始まることに対応する。健康を保つという社会課題に寄与できると考えている。

 2015年春には統合報告書も発行する予定だ。当社の潜在的な能力である技術やマーケティング、将来戦略などを投資家や外部の人に分かってもらえるように作りたい。社内コミュニケーションにも活用できると感じている。