聞き手/田中 太郎(日経エコロジー編集長)

電気を作るところから、送り、使う場面までの技術を持つ。総合電機メーカーこそ「グローバル環境先進企業」になれると語る。

柵山 正樹(さくやま・まさき)
1952年、兵庫県生まれ。76年3月東京大学大学院工学系研究科修士課程修了、77年3月東京大学大学院工学系研究科博士課程中退、同年4月三菱電機入社。常務執行役、専務執行役、執行役副社長などを経て2014年4月から現職
写真/鈴木 愛子

――2015年はどのような環境対策に注力しますか。

柵山正樹氏(以下、敬称略) 当社は、2021年の創立100周年に向けた「環境ビジョン2021」として、2020年度までにCO2排出総量30%削減する目標を掲げています。2015年は目標に向けた行動を起こす年です。「グローバル環境先進企業」と呼ばれる企業を目指しましょうと社内に言っていますが、そのように社会から評価されるような事業をしっかり立ち上げたいと考えています。

電気を作るから、送り、使うまで

――「グローバル環境先進企業」とはどんなイメージですか。

柵山 三菱電機グループの企業理念は、「技術、サービス、創造力の向上を図り、活力とゆとりのある社会に貢献する」です。この企業理念をブレークダウンしたのが、グローバル環境先進企業です。

 我が社の事業群、製品群は、電力・エネルギーを発生させるところから、それを送り、使うところまですべてをカバーしています。それぞれの場面で事業を展開しながら、生活の快適性と地球環境の持続可能性が両立する社会の構築に貢献する。しかも、日本国内だけではなく、世界中で貢献できる企業になりたいと考えています。

 最近は「総合電機メーカー」という言い方ははやらないと言われますが、私は総合電機メーカーだからグローバル環境先進企業になれるのではないかと考えています。上流から下流まで通じる技術を持っているからこそ、環境に広く貢献できるチャンスがあるからです。

 既に色々な省エネ技術を生み出し、市場に投入しています。省エネでは、社会から評価してもらえる企業に少しずつなってきているのではないでしょうか。今後はさらに、個々の技術を組み合わせて価値を高め、ソリューションとして提供できるようにしていきたいと考えています。

――具体的にはどのようなことでしょうか。

柵山 例えば家庭なら、省エネ型のエアコンを製造するだけではなく、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)などを含めたトータルのソリューションとして提供していく。家庭だけでなく、ビルや鉄道、さらにはコミュニティでソリューションを提供する事業を目指しています。

 最近の再開発の現場では、エネルギーだけではなく、生活のための情報や安全なども含めていろいろなソリューションを提供するプランが増えてきました。三菱電機がその中にどのように参画していくかが肝心です。

――2015年度から第8次環境計画がスタートします。

柵山 「環境ビジョン2021」では、三菱電機は1990年度、国内関係会社は2000年度、海外は2005年度を基準にして、2020年度までにCO2排出総量を30%削減することを目標にしています。その実現に向けて3年ごとに区切った活動計画を作っています。

 今まではエネルギー起源のCO2削減をテーマにしていましたが、欧州などの動向を踏まえて、GHG(温室効果ガス)全体で対策を打っていくのが第8次の1つの特徴です。SF6(六ふっ化硫黄)など温暖化係数が高いガスの削減は、国内はかなり進んでいますが、海外では遅れている部分があります。

――世界のグループ全体の取り組みを日本レベルにするということですね。

柵山 その国で求められている規制のレベルよりもはるかに高い目標を追求することになると思いますが、実行していかなければならないでしょう。

――経営説明会では「質の良い成長」を強調していました。質の良い成長には、環境も大きな要素になるのでしょうか。

柵山 規模だけを追求するのはなく、利益を生み出すこともその1つでしょう。また、社会に貢献した結果として利益を上げるのもそうです。あるいは、労働災害を減らすこともしかりです。質の良い成長とは、どんなステークホルダーを対象にするかによって説明の仕方が変わります。最も分かりやすいのは、グローバル環境先進企業として快適さと安全、地球環境の持続可能性に貢献しながら、売上高5兆円、利益率8%を実現することでしょうか。電気を作り、送り、使うという分野で自分たちのベストを尽くすことです。