半沢 智(日経エコロジー)

2015年夏のISO14001の改正を見据え、マネジメントシステムを抜本的に改革した。事業の効率化とともに、付加価値創出のモデルケースを目指す。

 富士ゼロックスは、これまで事業所や部門単位で運用していた環境マネジメントシステムを統合した「統合マネジメントシステム」の構築を推進している。拠点の統合だけでなく、品質マネジメントシステム規格「ISO9001」、情報セキュリティマネジメントシステム規格「ISO27001」、労働安全衛生マネジメントシステム規格「OHSAS18001」などの規格も統合したマネジメントシステムの構築である。

 同社はこの取り組みを、業務の効率化と新商品・サービスを実現する企業の生き残りをかけた重要戦略と位置付けている。

 2014年11月に発表した中期経営計画では、2016年度の売上高を2013年度比9.5%増の1兆2400億円とし、営業利益率を現行の7%から10%に高める目標を掲げた。また、2020年度に実現すべき環境目標として、自社のCO2排出量を2005年度比で30%削減し、提供する商品・サービスの工夫により年間700万tを削減するとの目標も持つ。

 総務部の村尾伸樹・環境経営グループ長は、「マネジメントシステム改革は、この2つの目標を実現するための旗印」と話す。

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管理レベルの維持に危機感

 マネジメントシステム改革の必要性は、5年ほど前から感じていた。環境経営グループの小島均マネージャーは、各拠点のISO14001の運用状況を見て、「この先、今のレベルの運用を続けることは難しい」という思いが強くなっていた。環境マネジメントシステムの担当者が定年退職で去り、人材の育成や確保が追いついていなかったのだ。

 さらに、環境管理に加えて品質管理、労働安全衛生、情報セキュリティなど、拠点の担当者が求められる業務の負荷も重くなっていた。3年ごとに実施される更新審査の対応作業に手が回らない拠点も増え、本社での支援も手一杯になってきた。このままでは、認証の更新どころか維持もおぼつかない。

 危機感を認識した同社は、環境管理を担う総務部、品質管理の品質保証部、情報セキュリティの情報通信システム部、労働安全衛生を担う人事部から人材を集めた専門部署を「変革マネジメント部」内に設置。マネジメントシステム改革の全社プロジェクトを立ち上げた。

 改革プロジェクト会議では、それぞれのマネジメント業務をどのように効率化し、規格や制度の変更に素早く対応するにはどうすればいいかが話し合われた。ここで出てきたキーワードが「統合」だ。

 これまでマネジメントシステムの運用は、各拠点に任せており、運用方法もバラバラだった。そこで、全社統一的なマネジメントシステムが必要と考えた。これが「拠点の統合」である。

 さらに、主要な4規格の内容を精査したところ、共通部分が多いことがわかった。それぞれの規格の共通部分を抽出できれば、業務の効率化が図れる。これは「規格の共通部分の統合」といえる。

 富士ゼロックスの特徴は、この統合マネジメントシステムの導入を、本来業務を見直すきっかけにしたことだ。同社は、山本忠人社長の「CSRは経営そのもの」という経営哲学の下、CSRと経営の一体化を目指している。この取り組みによって「CSRと業務の統合」をさらに推進できると考えた。

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