タン・ウイ・シアン 氏(写真:中島 正之)

 アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は、インドネシアに本社を置く世界最大級の総合製紙会社である。かつては、政府から開発権を得た土地で熱帯雨林を伐採してパルプの原料にしていたため、各国の環境NGO(非政府組織)から厳しい批判を頂いた。その反省を踏まえて2012年には、「APP持続可能性ロードマップVISION 2020」を掲げ、持続可能な経営に大きく転換した。

世界に向けて宣言

 このビジョンにのっとって2013年2月5日、自然林の伐採を全面的に中止して植林木だけで原料を賄うことを明記した「森林保護方針(FCP)」を発表し2年近く順守してきた。

 さらに、2014年9月にはニューヨークの国連本部で開かれた国連気候変動サミット2014に、APPの会長であるテグー・ガンダ・ウィジャヤが招かれ、「森林に関するニューヨーク宣言」に署名した。ここで気候変動抑制のために、世界の自然林消失率を2020年までに半減させ、2030年までにゼロを目指すこと、2020年までに1億5000万haの荒廃した森林の再生に取り組み、2030年までに最低2億haを再生することなどに協力すると宣言した。

 各国の政府やNGOに加え、花王や米ジョンソン・エンド・ジョンソンなど40ほどの企業が、この宣言に署名した。製紙メーカーとしては当グループが唯一参加している。経営トップ自らが、森林保護に注力していくことを世界に向けて約束した。

 実際にAPPはインドネシアで2014年4月から、東京都の面積のおよそ4.5倍に相当する100万haの森林の保全と再生に取り組んでいる。非常に大規模なプロジェクトであるため、政府やNGOや学術機関といったステークホルダー(利害関係者)と連携しながら進めている。

 インドネシアでは何社もの日本企業が森林再生に取り組んでいる。ただ残念ながら、活動の規模は限定的で、内容も統一されていない。APPはそうした皆さんと力を合わせることで、活動をより大規模で広汎なものへ発展させるプラットフォームになれるのではないかと考えている。

 2015年はAPPの持続可能な経営に向けた挑戦について、より幅広いステークホルダーに理解していただき、協力関係を深めていければと思っている。