田中 久雄 氏(写真:中島 正之)

 東芝ならではの環境活動とは何か。その答えの1つが「環境一斉アクション」だ。2年目になる2014年度は4月から2カ月間、世界20カ国の拠点で、150のテーマで活動を実施した。その様子をバトンをつなぐイメージでウェブサイトで紹介している。「環境活動は担当部署がやるんだ」と思わず、20万人のグループ社員一人ひとりが主体的に取り組むことが重要だ。すべての活動に環境がビルトインされているのが「エコ・リーディングカンパニー」の条件だと考えている。

 環境活動にはコストがかかるが、利益にもつながる。特に、顧客に環境性能を訴求できることは、ものすごいメリットだ。環境性能が業界トップであると社内で認定した「エクセレントECP」の売り上げは、2014年度に1兆8000億円を見込む。総売上高のまだ3分の1にすぎないが、1年前倒しで目標を達成した。

 すべての商品で、他社よりも環境性能が優れているものを企画・設計しなさいと社内には言っている。市場に出した時点で結果として負けるのは仕方がない。しかし、コストに目を奪われて環境性能を落としてはいけない。

分かりやすく伝えることが重要

 東芝は「環境ビジョン2050」の実現に向けて取り組みを進めている。少ない環境影響でどれだけ経済価値を生み出せるかの「環境効率」を指標にして、2000年を基準に2050年までに10倍にするという長期目標だ。ただ、これだけでは伝わりにくい。

 そこで、社員や顧客、株主などに対して分かりやすく伝える方法を考えた。それが、2015年度までの目標を定めた「第5次環境アクションプラン」であり、新コンセプトの「T-COMPASS」だ。世界的に重要度が高い環境課題をコンパスの4つの方角で示した羅針盤である。Nは「Natural resource(資源消費の最小化)」、Eは「Energy(エネルギー・気候変動への対応)」、Sは「Substance(化学物質リスクの最小化)」、Wは「Water(水資源消費の最小化)」を表している。

 特に温暖化問題は取り返しのつかない状況になりつつある。もうディスカッションをしている時間はない。2015年は世界で温暖化の問題をより深刻にとらえて各国が本気で取り組まなければならないだろう。