三浦 善司 氏(写真:中島 正之)

 当社の基盤事業ではオフィス向け複合機などを扱う。この事業は紙の消費が付き物だ。その環境負荷を考慮し、紙の消費量を抑える印刷方法の提案や、エネルギー消費量を抑えられる技術開発を通じて、顧客の利用時にも環境にやさしい製品・サービスを生み出してきた。

 現在も新興国を中心に紙の消費量は増えている。紙によるコミュニケーションが途絶えることはないだろう。しかし一方で、顧客の事業や、人の暮らしは変化している。紙への印刷にこだわらないコミュニケーションを実現する、様々な機器やシステムの提供に注力している。

顧客の事業・生活の変革支援

 狭い会議室での投影も可能な「超短焦点」のプロジェクターや、遠隔地とも書き込みを共有できる電子ホワイトボードは、その例と言える。パソコンのような小型・薄型の機器を使うテレビ会議システムは、大掛かりな通信システムが不要だ。現在、インドの都市と地方の病院を結び、遠隔医療に役立てる事業を検討している。離島や広大な国で活用が見込めそうだ。2015年も、画像処理などの技術を生かした「モノ(製品)」にIT(情報技術)サービスなどを組み合わせて価値を付加した「コト(ソリューション)」を提供し、顧客の事業・生活の変革を支援する。

 2015年は新事業への挑戦も重要になる。2014年10月、車載機器やセキュリティ、工場など向けの事業を分社化して新会社を設立した。ここでも得意とする画像処理技術や光学技術を生かす。例えば自動車向けのセンシング機器は、車両の燃費を向上させる。監視カメラなどを使うセキュリティシステムは、国内外から多数の人が集まる2020年の東京五輪でも、街の安全維持に役立つ。

 2014年はリコーが研究開発拠点を置く神奈川県海老名市で、海老名駅西口地区の土地区画整理事業に参画し始めた。エネルギー管理を含む環境や安心に配慮したインフラ構築などを提案する。この事業を足掛かりに、環境事業にも乗り出す。

 今、地球温暖化の問題が注目されるが、我々を取り巻く社会課題は環境問題だけに限らない。少子高齢化、食糧問題など広い分野でサステナビリティを向上させるため、企業は貢献する必要がある。当社も技術を通じて役割を果たす考えだ。