富岡 修(日経エコロジー)

2003年の中国進出を皮切りに、アジアの6つの国と地域まで版図を広げた。規制で海外展開が難しい廃棄物処理事業で、国内初の環境メジャーを目指す。

 廃棄物処理やリサイクル事業を手がけるDOWAエコシステムは、2014年11月に発表した2015年から3カ年の中期経営計画でビジョンを改めた。「アジアでNo.1の環境・リサイクル会社となり、アジアの環境改善に貢献する」から「アジアでNo.1を確立し、世界の環境メジャーとして地球環境の改善に貢献する」。アジアを起点に環境メジャーを目指すことを宣言したのだ。

 環境メジャーとは、広大な国土を持つ米国で一般廃棄物処理などを手がける米ウェイスト・マネジメントや、欧州連合(EU)で廃棄物処理や水事業などを手がける仏ヴェオリアなどを指す。買収を繰り返し、売上規模は1兆円を超える。一方、DOWAエコシステムの売上高は1040億円(2013年度)。廃棄物処理会社として国内首位を走るものの、2社と大きく水を開けられている。

■ DOWAエコシステムの業績推移

欧米メジャーと異なる道を歩む

 「アジアで首位を確立し、世界の環境メジャーを目指すと踏み込んだ表現に改めたのは、アジア事業の進展に手応えを感じているからだ」と、DOWAエコシステムの佐々木憲一社長は自信を持って話す。

 同社の強みは、廃酸や廃アルカリなど有害性や危険性が高い廃棄物処理を、回収から中間処理や最終処分場での埋め立てまで対応できる総合力にある。さらにDOWAグループの強みである金属精錬技術を生かしたリサイクル技術、需要が大きい汚染土壌の浄化技術などもある。それらをワンストップで提供し、排出事業者の多様なニーズに対応することで高い収益率を目指す。

 一方、欧米メジャーは米国やEU全域で一般廃棄物処理や上下水事業などのスケールメリットを追求する戦略で競合しない。

 将来、DOWAエコシステムと似た会社を買収し、同じ土俵で戦う局面が来るかもしれない。しかし、今は自らの強みを生かし、欧米メジャーと異なる道を歩むことができる。

 同社のアジア進出は、2003年12月の中国を皮切りに、2015年3月末でアジアの6つの国と地域に展開し、12の事業所を構える。「2015年3月期の経常利益は90億円を見込むが、その約25%をアジア事業が占めるまでに成長した」(佐々木社長)。

■ アジアの6つの国と地域に12事業所を構える
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 アジアの中でも成長著しいのが、東南アジア事業だ。売上高の成長率はグループ全体で見渡しても高い。下の折れ線グラフは、DOWAホールディングスの2014年度第3四半期の決算資料から抜粋した、5つのセグメントの主力事業の売上高の成長率の推移を示したものだ。多くの事業が微増や微減で推移しているのに対し、東南アジア事業の成長率は頭一つ抜けて高い。

■ DOWAグループの成長を牽引する東南アジア事業
出所:DOWAホールディングスの決算資料(2014年度第3四半期)を基に日経エコロジー編集部が作成

 ただ、現在に至るまでの道のりは平坦ではなかった。2003年12月、中国蘇州市でアジアで初めて金属リサイクル事業を始めた。自力で事業を立ち上げ、現地オペレーションに苦労したが、軌道に乗せた。「大変だったのは、行政や住民との信頼関係を築くこと。努力が報われ、中国が2009年から先行実施された家電リサイクルの指定企業に選ばれた」とアジア事業を統括する矢内康晴取締役は当時を振り返る。