斎藤 正一(日経BP環境経営フォーラム事務局長)

入社以来34年間、品質管理部門一筋で歩んできた。2002年から、ISO14001を基本に環境を学んだ。

中村 裕(なかむら・ゆたか)
1958年兵庫県生まれ。81年関西大学工学部卒業、同年ナショナル住宅建材(現・パナホーム)入社。品質管理業務に従事、2002年から品質・環境推進部長、2011年より現職

 入社以来34年間、品質管理部門一筋で他部署の経験がない。住宅の品質・環境管理のスペシャリストだ。入社したナショナル住宅建材(現・パナホーム)は、住宅の企画・開発および住宅を構成する部材を生産していたため、住宅部材の品質管理に力を注いだ。通商産業省(当時)が工業化住宅の品質を上げるために実施していた品質管理優良工場認定制度の審査に立ち会ったり、入社3年目からは販売施工会社を含めて全社展開していたQC(小集団)活動に事務局として深く携わった。

 しかし、若き日の中村さんが自分の弱点と感じていたのは、ハウスメーカーの本道である工場の現場や営業の現場経験がないことだった。そこで毎週土曜日に住宅部材の生産協力会社の工場に通い、材料が入荷し製品になるまでの工程をつぶさに見学したり、住宅の購入者を営業マンに紹介して商談に立ち会うなど、自ら現場経験を作っていったという。

 品質管理の仕事とは、お客様視点で仕事をすることと考えている。客からのクレームがあれば、開発部門や生産部門に戻し次の改善に生かす。「仕事を進化させるには、人と仕組みの掛け算で考えなくてはならない」が持論だ。人頼みだけでは、その人が異動してしまえばそこで途絶えてしまう。誰が引き継いでも、お客様に満足してもらう仕組みを作らなくてはいけないと考える。

 2002年に品質・環境推進部長になってから、環境の仕事に携わった。ISO9001認証の取得を中心になって進めた経験から、ISO14001認証を基本に環境を学んだと振り返る。2011年には品質と環境を一本化した統合マネジメント認証を取得し、品質マネジメントシステムをベースに環境マネジメントシステムを位置付ける体系を確立した。

 ISO活動では、人との出会いに恵まれた。約20年前、同社の担当になった審査委員から、「ISOの活用で良い方向に動くのならば何でもやろう」と言われ視界が広がった。「品質や環境管理の仕事は縁の下の力持ちだが、積極的に動けば会社を成長させることができるとの気概を持てた」と話す。

 これまでの会社人生を振り返っての感想はとの問いに、「幸せの一言です」と即答した。「品質・環境管理の仕事の後ろ盾にはお客様や社会の要望があり、社会正義で仕事ができる」がその理由だ。仕組みを作ってきただけに、仕組みが硬直する怖さを誰よりも知っている。部下にはマンネリにならないことを常に求めている。

 高校時代は応援団長を務め、スタンドからグラウンドで活躍する選手に声援を送った。今は品質・環境管理双方の視点から現場で働く従業員が気持ちよく働けるように仕組み作りでエールを送る。