ESG投資家をひきつけるには

 SDGsで伸びるビジネスに携わる企業が、ESG投資家をより効果的にひきつけるためには、(1)自社の製品・サービスをSDGsとひも付け、(2)製品・サービスが社会や環境にもたらす効果を評価し、(3)その効果が自社の経済的メリットにどのようにつながるのかを明記して投資家へ伝える必要がある(下の図)。

■ CSR報告での情報開示のイメージ
出所:日本総合研究所作成
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 (1)について詳述すると、17の目標すべてを網羅するように製品・サービスとのひも付けを行う必要はない。企業の業種、活動地域、経済状況に応じて、直面する社会課題は異なるため、自社の製品・サービスの強みとなる部分をSDGsが示す目標にひも付けるべきである。

 (2)のポイントは、SDGsに取り組むことによって直接的、間接的に得られる効果(インパクト)を評価するために、取り組みの開始前から評価手法や評価指標を設定し、評価データを収集・分析・モニタリングして、評価結果の分析と情報開示を行うことである。

 (3)については、より長期的な視点で様々な経済的メリットを考えてみることが有効であろう。例えば、SDGsに関連したビジネスを通じ、新興国における市場戦略など、本業における将来展望の手がかりを得るというメリットがあり得るだろう。

 次に、イノベーションの社内波及というメリットも考え得る。これは、社会課題を解決し得る新規製品やビジネスモデルの開発を通じた社員全体のモチベーション向上につながる効果も期待できる。その他にも、事業ポートフォリオの変革などに言及することも一考である。

 2016年5月には官邸主導で全省庁が参加するSDGs推進本部が設置され、その下部組織としてSDGs推進円卓会議と呼ばれる行政、市民社会、民間セクター、国際機関、有識者らによる会議体が設置された。

 そのアウトプットであるSDGs実施指針が2016年12月に閣議決定された。我が国の8つの優先課題を定義し140の具体的施策を掲げている。実施指針では、SDGs達成に重要なステークホルダーである民間企業の役割に触れ、それを後押しする要因としてのESG投資の存在に言及している。また具体的施策においても「ESG投資の促進による環境に配慮した事業活動の推進」やESG投資家の存在を意識した「JICAによる社会貢献債の発行」などを掲げている。

 こうした動きからも、企業がSDGsに取り組むことがESG投資をひきつける、という潮流が今後も拡大していくことが考えられる。

(日経エコロジー2017年4月号から転載)