丸井グループ:社長が40回の会議に参加

 オリジナリティーが際立っているのが、丸井グループの統合報告書「共創経営レポート」だろう。

 2015年から発行しているこの報告書の制作を主導しているのは、他でもない青井浩社長である。非財務情報を充実させた「共創サステナビリティレポート」と合わせて、報告書の検討会議にはすべて参加し、議論するという。その数、年間40回に及ぶ。

 こうした体制で作り上げた報告書は、対談や写真を生かした「読み物」風になっており、他社とは一線を画す。国際統合報告評議会(IIRC)のフレームワークに従う企業が少なくない中、同社は形式にこだわらず、「どうすれば一番伝わりやすいか」を徹底的に議論して作る。

 「報告書は、今の私たち、これからの私たちを見てもらうためのもの。数字からは分からない行間の思いを発信するツールとして活用していきたい」(丸井グループESG推進部ESG推進担当の塩田裕子課長)

 投資家が高く評価するのは経営トップの強い関与もそうだが、丸井グループが企業の価値をどう高めようとしているかが明確である点が大きいだろう。同社は、顧客の「しあわせ」を様々なステークホルダー(利害関係者)と共に創る「共創価値」経営を掲げる。企業の価値を、すべてのステークホルダーの「利益」が重なり合う部分と定義し、それを広げていけば企業価値の向上につながると説明している。円を重ねて描いただけのシンプルな図は、丸井グループの考え方を端的に表している。

業績への貢献を数字で強調

 2016年版では、共創の取り組みが企業価値の向上にどう結び付いているかを数字で強調した。例えば、顧客と共に開発したプライベートブランド(PB)商品の婦人靴がある。履き心地やデザインを追求した「ラクチンきれいパンプス」などの売上高が、2010年の発売から6年間で70倍に伸びている実績を伝えている。

 オリジナリティーあふれる丸井グループの報告書だが、投資家の声にしっかり耳を傾けて作られている。2015年の発行以来、必ず報告書の説明会を開いている。投資家向けのESG説明会を開催する企業が増えているが、丸井グループはその走りだ。さらに、環境省の環境情報開示基盤整備事業に参加し、約150社の機関投資家や企業にアンケートを実施。そこで報告書に対する声を吸い上げ、改善に生かしている。

■ 丸井グループは「分かりやすさ」を追求する
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 丸井グループIR部の寒竹明日美IR担当課長は、「分からないことはすべて聞く。投資家からの要求は尽きないが、2017年版では10年後を見据えた経営の在り方などを表現する予定だ」と言う。

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