「経営との統合」は9%

 だが、企業にとってマッピングをするだけでは単に既存事業を「棚卸し」しているにすぎず、SDGsに期待されるより大きなビジネスチャンスをものにできないだろう。

 IGESがグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)と共同で実施した調査によると、SDGsを理解する段階にある企業が54%と過半を占め、経営への統合に至っている企業は9%に留まる。

 社内の啓発やマッピングから、その先の第2段階に当たる経営との統合に進むためには、トップの関与が欠かせない。経営戦略や中期経営計画を策定する際にSDGsを考慮し、重点課題を特定したり、目標やKPI(重要業績評価指標)を設定したりすることが出発点になるからだ。

 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の蟹江憲史教授は、「今はマッピングから経営との統合への移行期にある。さらにこの先は、SDGsの目標にどれだけ貢献しているかを測るようになる。それが投資判断の指標になるだろう」と話す。

■ SDGsの活用で第2段階に進んでいる企業はまだ少ない

 SDGsへの企業の関心の高まりを捉えて、博報堂は2017年10月、SDGsを活用して企業ブランド価値を高めたい企業に向けてコンサルティングサービス「SDGsコーポレートプログラム」を開始した。初年度1億円の売り上げを目指す。

 博報堂ブランドデザイン副代表の兎洞武揚氏は、「他社がやっているから乗っかるのではなく、もっと本質的な部分、SDGsが利益につながるというところを形にしていく」と意気込む。

 ドイツ最大級の財団であるベルテルスマン財団が持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)と共同で発表した報告書によると、国別のSDGs達成状況で日本は157カ国中11位(2017年)だった。上位を独占する欧州勢にはまだ及ばないものの、今後の取り組み次第では、欧州勢に追い付き、SDGsが生む市場をリードすることも不可能ではないはずだ。

 「経営との統合に動く日本企業 中期経営計画に組み込む」で紹介する先行企業の事例からヒントを見つけ、環境・社会課題の解決をビジネスチャンスに変えてほしい。

(日経エコロジー2018年1月号から転載)