SOMPOホールディングス:顧客とのつながりを強化

 歩いた距離、取った食事、体重、実施したダイエットプログラム、毎日、これら4つを記録してダイエットに取り組むスマホ向けアプリ「リンククロスレコ」。このアプリを2017年4月から無償で提供しているのが、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険だ。

 他にも、健康に関する情報を閲覧できる「リンククロスシル」、散歩コースを検索できる「リンククロスアルク」というアプリを提供している。「生命保険会社がなぜダイエットを?」と不思議に思うかもしれないが、SDGsと深い関わりがある。

■ SOMPOホールディングスは社会課題の解決を保険事業の強化につなげる
SOMPOホールディングスグループは、顧客との接点を増やすサービスを展開する
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 同社が所属するSOMPOホールディングスグループは、経営理念である「安心・安全・健康」に基づいて「防災・減災」「健康・福祉」「地球環境」など5つの重点課題に取り組んでおり、SDGsを強く意識している。経営の「根っこ」にSDGsをしっかりと植え付けているといえる。前述したアプリは、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に貢献するものだ。

 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険がアプリを通して顧客の健康維持・増進を支援する狙いは、顧客とのつながりを強化することにある。生命保険会社は通常、保険加入時と保険金支払い時の大きく2回しか顧客との接点がない。そのため、保険商品を提案するきっかけになる結婚や出産といったライフステージの変化を捉えるのが難しい。

 だが、アプリの利用履歴を見ればライフステージの変化を知ることができる。例えば、ダイエットに取り組み始めた人は、「結婚を控えていて披露宴で美しい姿を親族や友人に見せたい」「出産後に増えた体重を落としたい」といった目的を持っていると予想される。

 こうした分析ができるようになるまでにはこれからさらにデータを蓄積する必要があるが、「将来は保険商品と組み合わせて、健康関連サービスを提供したい」(事業企画部の池田百美主任)と言う。

 既に、2016年9月に月々500円で加入できるネット専用の臓器移植・先進医療特化型保険「リンククロスコインズ」を発売している。ネット利用者とアプリでつながり、保険商品の販売拡大につなげたい考えだ。

事故減らして契約の継続狙う

 グループの損害保険ジャパン日本興亜も主力商品である自動車保険で、顧客との接点を増やすサービスを展開する。2015年3月に提供開始した企業向け安全運転支援サービス「スマイリングロード」がそれだ。通信機能付き車載端末を利用して、加速や減速、ハンドル操作などの運転情報を収集。集めた情報を管理者が分析して運転手に安全運転を指導する。SDGsの目標3に関係する「2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる」という目標に貢献する。

 サービス開始から2年半で800超の企業に導入した。平均で20%の事故削減効果があり、中には50%減らしたところもあるという。2016年1月からは個人向けにスマホアプリ「ポータブル スマイリングロード」を提供している。現在、約20万人の利用者がいる。

 事故が減れば、顧客は保険料が下がり、損保ジャパン日本興亜にとっては保険金の支払いが減るメリットがある。サービスを通して顧客とのつながりが強まることで保険契約の継続や、他社の保険からの乗り換えが期待できる。

 スマイリングロードの提供開始前後で自動車保険の保険料を見ると、2014年度から2016年度までに約20%増えている。

 2018年1月には、ポータブル スマイリングロードの利用者を対象にした「テレマティクス保険」を発売する。新規に保険に入る顧客に対して、安全運転の度合いに応じて最大20%割り引く。

 SOMPOホールディングスの課題は、全社にSDGsをさらに浸透させることだ。経営層には経営会議でSDGsを取り上げて理解を促す一方、一定の職層を対象にした研修では損保ジャパン日本興亜の二宮雅也会長自らがSDGsについて講義する。社員に配布するCSRの教材「MY CSR BOOK」の表紙にSDGsのロゴを掲載しているのも社員啓発の一環だ。

 SOMPOホールディングスCSR室の小川慶章特命課長は、「社員一人ひとりがSDGsを認識すれば違う視点で商品を開発できる。SDGsはヒント集だ」と話す。

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