富士フイルムホールディングス:2030年のゴールを設定

 富士フイルムホールディングスは2017年8月、新しいCSR計画「サステナブルバリュープラン2030(SVP2030)」を発表した。注目すべきは、2030年度までの長期目標を定めた点だろう。これは、パリ協定やSDGsがターゲットとしている年であることと関係している。

■ 富士フイルムホールディングスは2030年までの新CSR計画を策定
富士フイルムホールディングスは、2030年までの新CSR計画を策定した。4つの重点分野を設定するとともに、「サプライチェーン」と「ガバナンス」を強化する
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 重点分野は、従来のCSR計画と同じく「環境」「健康」「生活」「働き方」の4つある。SVP2030では、これに「サプライチェーン」と「ガバナンス」の強化を加えた。

 連結売上高の約6割を海外で稼ぐグローバル企業として、サプライチェーン全体で環境や人権問題に配慮する必要がある上、公平で透明な企業風土も求められている。2017年にグループの富士ゼロックスの海外販売子会社で不適切な会計処理が発覚しており、同社のガバナンスには厳しい視線が向けられている。

4分野で15の課題に挑戦

 2030年度の目標を設定するのに当たって、全事業部の部長にヒアリングした。重要課題の特定では、前述した4分野について、「CO2排出削減」や「疾病の早期発見」など社会課題を約130項目挙げて、各事業部との関連度合いを確認した。さらに今回は、これに加えてSDGsのターゲット169項目について事業との関わりを調べ、同社が取り組むべきものを抽出していった。

 その結果、15項目の重点課題を設定した。例えば、「気候変動への対応」(環境)、「アンメットメディカルニーズへの対応」(健康)といった課題が並ぶ。SDGsに照らすと、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標13「気候変動に具体的な対策を」など9つの目標に貢献する。

 グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの上野明子次長は、「サステナビリティを全社に浸透させるためには、現場を巻き込んで丁寧に議論することが大事だ」と指摘する。

 富士フイルムホールディングスは、SDGsをビジネスチャンスと捉えて、社会課題の解決に貢献する製品やサービスの販売を強化する。

 例えば環境分野では、省エネ性の高いデータ保存用磁気テープの普及などを進めることによってCO2削減に貢献する。2030年度までに累計5000万tを削減するのが目標だ。これは、同社グループが排出するCO2の量に匹敵する。

 「今やグループ全体の事業は15と多岐に渡り、何をやっている会社かが見えづらくなっている。これから、SVP2030を発信する際にSDGsと絡めていく」と富士フイルムホールディングス経営企画部CSRグループシニアエキスパートの星野俊彦氏は言う。

 同社は、SDGsは社員の視野を広げるのに有効だと見ている。経営企画部CSRグループの小島麻理マネージャーは、「社会課題の解決と言われても、自分の日々の仕事との関係が思い浮かびにくい。SDGsはいろんな視点を与えてくれ、これからどういうことをやっていくかを考えるヒントになる」と話す。

(日経エコロジー2018年1月号から転載)