半沢 智(日経エコロジー)

世界766拠点が一体となった環境マネジメントシステムを運用している。運用支援システムが、事業創出や海外展開に不可欠なツールになろうとしている。

 富士通は、2016年度から第8期環境行動計画をスタートさせる。環境行動計画は、3年ごとに取り組む目標を定めたものだ。

 現在の第7期の目標は、「お客様・社会への貢献の拡大」である。ICT(情報通信技術)を使ってエネルギー利用を効率化する商品やサービスを提供し、気候変動や災害対策への貢献につなげる。

 今年3月に発表予定の第8期の計画では、こうした方針を維持しつつ、グローバル展開に力を入れる予定である。執行役員常務の五十嵐一浩ビジネスオペレーショングループ長は、「気候変動の緩和や適応に役立つソリューション提供を、グローバルで推進していく」と話す。

 新たな環境行動計画は、田中達也社長が2015年10月末に発表した経営方針を支えるものだ。田中社長は、将来の成長が見込まれるIoT(インターネット・オブ・シングス)事業への投資を強化し、現在約40%の海外売上比率を50%に引き上げる方針を示した。

次の「柱」の創出急ぐ

 富士通が事業領域とするICT分野は、技術や市場の変化が激しい。

 2012年には、かつての主力事業であった半導体事業が海外メーカーの台頭によって最終利益が赤字に転落した。不採算事業の撤退・縮小などの事業改革で2013年度に黒字回復したものの、2015年はパソコン事業と携帯電話事業の苦戦が収益を圧迫した。2015年度の最終利益の見通しは1000億円で、2014年度の実績を下回ると予想している。継続的に収益を確保していくためには、収益の柱となる事業の創出が課題となっている。

 売り上げ拡大のため、海外展開も加速する。特に力を入れるのはアジア市場だ。これまで日本とアジア地域で独立していた営業体制を統合した「One Asia」体制を2015年10月にスタートさせた。成長するアジア市場を獲得したい考えだ。

 IoTを活用した環境ソリューションは、アジア諸国でニーズが高い。すでに新規ビジネスが走り出しているものもある。

 2015年3月には、インドネシアのジャカルタ特別州防災局に対して洪水リスクを軽減するための適応ソリューションの運用を開始した。同国で普及率の高いスマートフォンを活用し、市民から寄せられた河川の水位や雨量などの情報を集約して地図上に表示し、被害軽減に役立てる災害情報システムである。

 インドネシアの省庁や大学と協働して、富士通のエネルギー管理システムを活用した電力消費量の監視プロジェクトも開始した。国を挙げた省エネの取り組みをIoT技術で支援する計画である。

 新たな環境行動計画では、こうした環境ソリューションの創出と海外展開を図る。