国家戦略の波に乗る

 国は、水素社会の実現を国家戦略に位置付け、取り組みを加速させている。2014年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、将来の2次エネルギーとして、「電気、熱に加え、水素が中心的役割を担うことが期待される」と明記した。同年に策定された「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、2020年頃には自家発用水素発電を開始し、2030年頃には発電事業用の水素発電を本格的に開始するという目標を掲げた。

 最近では、2015年12月にパリで開催された国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP21)に出席した安倍晋三首相が、「気候変動と経済成長を両立できる鍵」として、「CO2フリー社会に向けた水素の製造・貯蔵・輸送技術」を挙げた。水素技術の開発で日本がリードする考えを国際社会に示した。

 

 同社がCO2フリー水素のコンセプトを最初に打ち出したのは、2010年に策定した「Kawasaki事業ビジョン2020」だ。同ビジョンでは、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する」という同社ミッションを実現するための事業としてエネルギー・環境分野を挙げ、水素事業を推進してきた。

 

 水素関連技術の開発は、成長の中核として位置付けている。

 

 同社の2015年度の売上高は、1兆5410億円。2016年4月に公表した中期経営計画(2016~2018年度)では、2018年度までに売上高1兆7400億円を目指す。

■ 海外からCO2フリー水素を輸送するプロジェクトが始まった
川崎重工業、岩谷産業、シェルジャパン、電源開発の共同プロジェクトで、川崎重工業が主幹事を務める。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、2020年までの6年計画で進める