富岡 修(日経エコロジー)

丸の内や大手町など日本の中枢を担うビジネス街の再開発を加速する。自然との共生や防災機能の強化で、アジアの国際間の都市競争に勝つ。

 三菱地所は2011~2020年度までの中長期経営計画の中で、最終年度までに営業利益を倍増することを目指している。計画が策定された2011年3月期の営業利益は約1583億円なので、倍増すると3166億円になる。

 高い目標達成に欠かせないのがビル事業の強化だ。同事業は2015年3月期の業績(連結)で、営業利益の約74%を稼ぎ出す中核事業である。その中でも特に重要なのが多くのオフィスビルの運営や再開発を手がける東京都心の丸の内、大手町、有楽町地区(3地区の頭文字をとって「大丸有地区」と呼ぶ)である。

 近年、アジア諸国の台頭で国際間の都市競争が激しくなっている。日本の中枢を担うビジネス街である大丸有地区であっても、国際都市としてのプレゼンスの維持は簡単ではない。その危機感から、同社は大丸有地区の再開発を投資開発事業と改めて位置付け、アジアでナンバーワンの競争力を持つ都市にするべく事業を進めている。

大手町に新名所が2つ誕生

 その試金石となるのが「大手町1-1計画」と、地権者の権利を他の土地に換えて再開発する「大手町連鎖型都市再生事業第3次事業」という2つのプロジェクトだ。ともに延べ床面積は20万m2を超える巨大プロジェクトで、地区の国際競争力の強化を担う。竣工時期は最も早いのが「大手町1-1計画A棟」(正式名:大手門タワー・JXビル)の2015年11月、次いで「大手町連鎖型都市再生事業第3次事業」の2016年4月、「大手町1-1計画B棟」(正式名:大手町パークビルディング)は2017年1月を予定している。

■ 国際競争力を高める2つの再開発プロジェクト
出所:三菱地所の資料より抜粋して本誌が作成
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 これらの再開発は、過去に手がけた新丸ビルなどと異なり、「長期滞在型施設の導入」「自然との共生」「防災対策の強化」などの特徴がある。

 同社は、大手町1-1計画B棟の高層階に、大手町地区で初となる長期滞在型のサービスアパートメントを導入する。運営するのはアジアや欧州の主要都市で事業展開し、シンガポールに本拠を構えるアスコット社だ。ロンドン、ドバイ、上海などで展開する最高級ブランド「Ascott The Residence」の進出が決定している。大手町には多くの外資系企業が入居するにもかかわらず、居住や長期滞在用の施設はほぼなかった。今回の誘致でグローバルなビジネス拠点としての競争力を高める。

 併せて自然と共生できる街づくりも進める。出張や観光などの短期滞在ならまだしも、長期滞在や居住となると、自然は都市の魅力として欠かせない。大丸有地区の中で東京駅周辺の丸の内はオフィスビルが集積し、自然を楽しめる場所が少ない。しかし、日比谷公園周辺の有楽町から皇居周辺の大手町地区までは都心部とは思えない自然が広がる。とりわけ大手町1-1計画は示す地番から分かる通り、橋を渡った先に大手門などもある。