考え方と働き方を変える

 竹中工務店が採った省エネのアプローチは3つある。(1)快適性の考え方を変える、(2)働き方を変える、(3)最先端の省エネ設備を導入する──である。空調に太陽熱や地中熱を利用して省エネを追求した点は見逃せないが、快適性の考え方や働き方を変えることによって約30%の省エネを達成した点に大きな特徴がある。

 快適性については、従来、室内がどこも一定の温度や湿度に保たれている状態が最適とされていた。これを見直し、外気を適度に入れるようにした。外気を入れると室内の温度や湿度を一定に保ちにくくなるが、柔らかな風を感じ、快適さが増すという。その分、空調の温度を緩和できるので、省エネになる。

 「外でそよ風に当たったときのような快適感を得られる」(高井氏)。外と室内の温度差などによって換気口を自動的に開け閉めする。夏場に温度の高い外気が入ってきて不快になるようなことはないという。

■ 働き方の変革や空調の省エネなどで7割省エネ
出所:竹中工務店の資料を基に作成
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 働き方の変革では、個人でパソコンを使って作業する、チームのメンバーで打ち合わせをする、資料を探すといった仕事の内容ごとにスペースを明確に分けた。併せて、部署ごとなどに設置していたプリンターなどを、同じフロアで広く共有するようにし、台数を約半分にした。これによって、待機電力など機器が消費する電力量を減らした。さらに機器から発生する熱の量を抑えられるため、空調の負荷が小さくなり電力使用量を削減できる。

 紙の資料は共有スペースにまとめて保管するように変更した。このスペースは常に人がいるわけではないので空調が要らなくなり、省エネに一役買っている。紙の資料は手元にあった方がいいと考えられていたが、結果的に不便はないようだ。

 車戸・執行役員は、「ZEBというと省エネ設備といったハードが注目されがちで、快適性の考え方や働き方を変えるといったソフトの部分での省エネはあまり手が付けられていない」と話す。

 作業スペースの分割は、知的生産性を高める効果も期待できる。「社内のコミュニケーションが活発になったり、場所を移動することで頭が切り替わり、いいアイデアが浮かんだりする」(高井氏)。

社員個人の作業スペース(写真左の左側)と打ち合わせスペース(写真右)を明確に分けることで、省エネと知的生産性の向上を狙う