シェアビジネスの先駆け

 もう1つの強みが、循環型のビジネスモデルを構築していることだ。モップやマットなどをレンタルで提供しているので、顧客が繰り返し使えて廃棄が少なく環境負荷が低い。シェアビジネスの先駆けともいえ、共感する顧客は多い。

 ただ、業績の頭打ちが示す通り、事業モデルが揺らいでいるのも事実だ。クリーン・ケアグループを統括する楢原純一取締役は、「レンタルは需要が安定しているため一気に落ち込むことはないものの、売上高は微減が続いている。事業所向けは、競争が激しく価格競争に陥りやすい。家庭向けは、共働き世代やネット通販の利用が多い若手世代に訪問モデルが通用しにくい」と話す。

 創業後、ダスキンが躍進を遂げた理由は、水で濡らした雑巾を絞って拭いていた床の掃除を、水不要のモップで簡単にできるようにしたことである。これにより、主婦が家事に費やしていた時間や労力が減った。「社会の困りごとを社会のお役立ちに変える」という理念を体現し、社会課題の解決と利益を両立させるCSVの好例といえよう。

 しかし、モノやサービスの提供だけで、顧客満足を満たすのは難しい。今、事業所向けで強化しているのが課題解決型の提案ビジネスだ。

 同社は「ハイジーンマスター」と呼ぶ衛生管理に詳しい人材を育成して、商品やサービスを提案する営業から脱却し、衛生管理をトータルにマネジメントできる営業スタイルへの転換を図っている。顧客の課題を解決することでより必要とされる存在になり、収益の向上を目指す。

 調理室を例に説明すると、まず検査して衛生状態を把握する。食品や調理品に含まれる細菌を測定したり、害虫の発生状況をプロが目視調査して衛生状態を数値化する。その調査結果に基づいて衛生状況を維持・改善するのに必要なサービスや商品を提案する。例えば、菌の発生源になるゴキブリを駆除するサービスや、菌の持ち込みを防ぐ除菌マットを提案するといった具合だ。

 「改善提案による受注単価は、従来と比べて約2.7倍高く、2017年3月期の売上高は対前年で約60%伸びた。育成に時間はかかるものの積極的に拡大する。約500人いるハイジーンマスターを2018年3月末までに950人に増やし、売り上げを倍増したい」と楢原取締役は意気込む。

■ シェアリングモデルの進化を模索
レンタルによる商品提供は循環型ビジネスの先駆け。製品ライフサイクルを管理することで環境負荷を削減(上)害虫駆除や高度なクリーニングサービスの提供や、検査して衛生状況を把握した後、衛生環境の改善などを提案するマネジメントサービスを展開(下)

 一方、家庭向けではシニア層への取り組みを強化している。2015年4月、ライフケア開発本部を設置し、同社が提供する様々な商品やサービスを横断的にアプローチする戦略を打ち出した。それを示すのが、次ページの図である。

 同社は健康状態や支援・介護の度合いに合わせて高齢者を3つのカテゴリーに分類した。「要介護シニア」「サポートが必要なシニア」「元気なシニア」である。