次のヒットを生み出せ

 2016年11月に、SDGsに貢献する製品や技術を認定する社内制度「スミカ・サステナブル・ソリューション」を発表し、21製品を認定した。認定製品の2016年度の売上高は約2934億円で、グループ連結売上高の15%である。2020年までにこれを倍増させると宣言した。2017年7月には第2弾として新たに13製品を認定した。今後も認定製品を増やしていく予定である。

■ 売上高と営業利益の推移

 過去に成功例がある。殺虫剤を練り込んだ蚊帳「オリセットネット」である。この製品は、海外で住友化学のブランドを高めるとともに、途上国市場の開拓につながった。スミカ・サステナブル・ソリューションから、第2、第3のヒット製品を生み出したい考えである。

 住友化学の企業理念は、「新しい価値の創造」「人類社会の発展に貢献」「社会から信頼される企業風土」で、SDGsと親和性が高い。SDGsに取り組むことは、理念に立ち返り、企業の方向性を示すことにもなる。

 コーポレートコミュニケーション部の山内利博IR部長は、「SDGsに取り組むことが、社会課題の解決と業績の向上の両方につながることが分かるように、情報開示に注力している」と話す。

 このことは2017年8月に公開した最新の統合報告書「住友化学レポート」にも表れている。石油化学、エネルギー・機能材料、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬品という5つの事業部門の各責任者が、経営実績や経営目標だけでなく、重点的に取り組むSDGs目標を語っている。目標の達成度合いがわかるように、スミカ・サステナブル・ソリューションの部門別の売上高も記載した。

 例えば、エネルギー・機能材料部門が掲げたSDGs重点目標は、目標7(エネルギーをクリーンに)、目標8(働きがい)、目標13(気候変動対策)である。同部門のスミカ・サステナブル・ソリューションの売上高は208億円とまだ小さい。今後、電気自動車などで利用が進むリチウムイオン2次電池用セパレータや、水素や天然ガス製造などでの活用が見込まれるCO2分離膜の開発と販売を強化する方針を示し、将来的な成長をアピールする。

投資家を振り向かせる

 株主や投資家との直接対話にも力を入れている。2016年度は、十倉社長による投資家向けの説明会を2回、部門長による事業戦略説明会を1回開催した。さらに、十倉社長とIR統括役員が国内外の主要な投資家や運用機関を個別に訪問する海外ツアーを5回開き、約40の投資家や運用機関と対話した。

投資家を対象にした経営戦略説明会(左)や、投資家への直接訪問(右)で、SDGsの取り組みをアピールする

 海外の投資家や運用機関で関心が高いのが、気候変動対策に関する取り組みで、リスクだけでなく機会として捉えているかという質問も多いという。そこで、SDGsを通じたスミカ・サステナブル・ソリューションの取り組みが「武器」となる。2016年に第1弾として認定した21製品は、CO2排出削減やクリーンエネルギー関連の製品である。これらに世界的なニーズがあり、販売を強化する方針を伝えることで投資家の興味を引き付ける。

 SDGsへの取り組みを進める背景には、海外のライバル企業の存在もある。海外売上高比率は61%で海外動向は無視できない。

 世界大手の独BASFや米ダウ・ケミカルは、SDGsの17目標と自社事業の関連を公表するなど、早くからSDGsへの対応を表明していた。住友化学は、具体的な製品や目標を打ち出すことで、他社より一歩進んでいることをアピールする。