グローバルで存在感示す

 住友化学グループの2016年度の連結売上高は1兆9543億円で、営業利益は1343億円である。2016~18年度を対象とした中期経営計画では、売上高2兆5400億円、営業利益2000億円の目標を掲げている。世界最大手の独BASFの2016年の売上高は約7兆4000億円(576億ユーロ)で、住友化学の約4倍である。

 世界の化学メーカーは今、大きな再編のうねりの中にある。世界2位の米ダウ・ケミカルと同8位の米デュポンは経営統合を進めている。2017年6月には、中国国有の中国化工集団(ケムチャイナ)が、農薬最大手のスイスのシンジェンタを買収するなど、業界全体で合従連衡が進んでいる。こうした世界の巨大企業にどう対抗するかが課題となっている。

 2017年6月2日に開催した事業戦略説明会で十倉社長は、「他社と合併する考えは現時点ではない」と発言し、企業規模を追求するのではなく、特定分野で他社を圧倒する製品を投入していく方針を改めて強調した。

 景気に左右されない持続的な成長も課題である。同社は、2025年度まで経常利益を年率7%ずつ成長させる目標を掲げている。

 こうした課題を解決するために欠かせないのが、技術力を生かした新製品の継続的な創出だ。

■ SDGs貢献製品の売り上げを倍に
SDGsの社内認定制度「スミカ・サステナブル・ソリューション」の認定製品の例。蓄電池のセパレータ(左)。天然物由来の農薬の技術指導風景(右)

3万人でアイデア創出

 環境・エネルギー、ICT(情報通信技術)、ライフサイエンスの3分野を、高成長が期待できる分野と位置付けて事業を強化している。環境・エネルギーは、パリ協定の発効により今後も高いニーズが期待できる。農薬、電子材料、医薬品などは高い技術力が必要となるため、中国などのアジア勢と差異化できる。こうした分野で、SDGsに貢献する製品を投入し続けることが、世界で生き残るための鍵となる。

 新製品や新事業の創出は、現場で働く社員のアイデアが元となる。海外グループ会社を含む3万1000人がアイデアを生み出す源泉だ。そこで2017年も、SDGsに貢献する活動や製品のアイデアを募る「サステナブルツリー」の第2弾を6月から100日間かけて実施している。

 2017年は「事業を通じて」SDGsに貢献できるテーマに絞り、部署ごとでも応募できるようにした。より事業に直結したアイデアを集めるためだ。CSR推進部では、各部署の取り組みを社内報で紹介して活動を支援している。福田加奈子CSR推進部長は、「SDGsの取り組みを一過性なブームに終わらせず、社員や部署レベルでの活動を継続していくことが大事」と話す。

■ 新製品を生み出す源泉に
社員参加プロジェクト「サステナブルツリー」(左)。社員からSDGsに貢献する製品や活動のアイデアを募る。社内にアイデア募集箱も用意(右)

 SDGsを起点とした経営は、始まったばかりだ。今後は、取り組みの進捗や成果を投資家などのステークホルダーに開示していくとともに、業績に結びつくことを示していく必要がある。