営業本部設置で「本気」見せる

 相次いでプラントを稼働させるとともに、営業に本腰を入れる。6月に、研究所や事業部から営業や技術者を40人以上集めて新素材営業本部を設置した。CNFの他、難燃性や消臭・抗菌機能を備えた紙「ミネルパ」といった、成長が見込める高付加価値商品の市場を開拓する。

 山崎和文副社長は、「プラントを造って供給能力を大きくすることで、顧客から信頼を得られる。営業本部を設けてしっかり売る姿勢を見せれば、本気さも伝わる」と言う。

 日本製紙の売上高はここ数年、1兆円前後で推移する。営業利益を2017年度(2018年3月期)に300億円、中期的に500億円に引き上げるのが目標で、このうち約半分を成長分野に位置付ける新素材やエネルギー事業などで稼ぐ計画である。

■ 成長分野で営業利益の半分を稼ぐ事業構造への転換を急ぐ
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 もともと500億円の利益目標は、2017年度を最終年度とする現中期経営計画で達成するつもりだった。だが、紙の需要の落ち込みや、古紙や燃料の価格上昇、円安などの影響を受けて、先送りを余儀なくされた経緯がある。「成長分野・新規事業については着実に手を打っているが、既存事業の落ち込みが大きい。もっとペースを上げていろんな手を打っていかないといけない」(山崎副社長)。

 石巻工場、富士工場、江津工場で生産するCNFは、用途がそれぞれ異なる。様々な用途に対応できるようにし、CNFの生産拡大につなげる。量産効果を引き出し、大幅なコスト削減へ道筋をつける。

 「本命」とされる自動車部材としての利用を想定しているのが、富士工場で作るCNFとプラスチックとの複合材(CNF強化プラスチック)だ。富士工場を生産拠点に選んだのは、関東・中部地域に集積する自動車関連会社からの需要を見込んでのこと。まずは年間10t程度を生産し、サンプルを提供する。既に数社に出荷したもようだ。

 「2020年までに、何らかの自動車部材としてCNFを供給したい」(山崎副社長)。エンジンカバーやドア、タイヤなど、現在、プラスチックや金属、ゴムなどが使われている部材からの代替が期待される。

 日本製紙は既に、プライマーという下塗り塗料に使う製品や、リチウムイオン電池の電極に使う製品などで自動車関連会社と既に取引がある。こうしたチャネルを生かして、CNFでも自動車業界に深く食い込む考えだ。

 2017年4月から量産を開始した石巻工場では、既に市販されている大人用紙おむつの抗菌・消臭シート向けにCNFを供給するこの他に、塗料などの添加剤としても採用されたもようだ。

 石巻工場は、紙の製造・販売に依存しない“脱製紙”を象徴するメイン工場に位置付けられており、生産能力は年間500tと世界最大級の規模を誇る。2019年までにフル生産に移行する計画だ。