【環境ブランド指数ランキング】
「ブレない経営」に高評価

 日経BP環境経営フォーラムの「環境ブランド調査2017」は、サントリーが、2016年1位のトヨタ自動車から首位を奪還した。

 環境ブランド指数を構成する4つの指標「環境情報接触度」「環境コミュニケーション」「環境イメージ」「環境評価」の全てで、サントリーとトヨタが1位と2位を2つずつ分け合う接戦となった。環境ブランド指数全体を見ると、サントリーが2016年の99.3から100.3へ伸ばした一方で、トヨタは102.6から99.8と減らした。

 10位までのランキングを見ると、3位から7位までは2016年7位までに入っていた企業が並んだ。8位には、2016年12位だったセブン-イレブン・ジャパンが、9位には2016年17位のアサヒビールがランクインした。

 11~15位につけたのが、積水ハウス、JXエネルギー(ENEOS)(2017年4月1日にJXTGエネルギーに社名変更)、ダイキン工業、ブリヂストンである。これらの企業が2016年より10位以上ランキングを上げた。

販売拡大がブランド強化に

 2017年は、サントリーの強さを改めて証明した年となった。

 同社ブランドは、主力商品「天然水」の販売量向上とともに認知が広がっている。天然水シリーズとして2013年に「スパークリング」と「スパークリングレモン」、2014年に「朝摘みオレンジ」、2015年に「ヨーグリーナ」と、次々と新製品を投入。2017年4月には「PREMIUM MORNING TEA レモン」を投入した。

 既にあるブランド名を活用して新製品を投入する戦略は、「ライン拡張戦略」と呼ばれ、飲料や食品メーカーでよく使われている。ブランド力が高い製品ほどその効果は高い。直近6年間で販売量は倍増し、2016年には1億ケースを超えた。

 2017年3月には、国内4拠点のビール工場の名称を「天然水のビール工場」に変更した。水で培ったブランドをビールでも訴求し始めている。

 強固なブランドを活用して販売を拡大し、それをブランドの認知拡大につなげる──。決して手綱を緩めることのない同社のこうした取り組みが、効果を現している。

■ サントリーは「天然水」の販売増でブランドが強固に

ブランドを「実感」に変える

 同社の強さの背景には、商品、企業活動、宣伝など、事業のあらゆる側面で「水と生きる」というコーポレートメッセージを訴求するブランド戦略がある。コーポレートコミュニケーション本部長の福本ともみ執行役員は、「2005年にこのメッセージを掲げて以降、消費者の約7割に認知度がある。水を守るというイメージを具体的なものとして感じてもらえるよう注力している」と話す。

 この戦略を体現しているのが、中核商品の「天然水」だ。水源の山々と自然を描いたデザインラベルで、水源を守る姿勢をアピールしている。テレビCMでも水源の山や森の美しさを意識させる内容にしているという。

 一橋大学大学院・国際企業戦略研究科の阿久津聡教授は、「商品戦略をサントリー社員が実施している水源保全活動と結びつけ、ストーリー性を持たせている」と分析する。

「水理念」を策定して300を超えるグループ会社と共有。水資源の保全活動をサントリー傘下の海外企業に広げている

 サントリーでは、自社工場の水源を守る「天然水の森」活動を実施している。こうした活動は「インナーブランディング」と呼ばれ、ブランド価値を社内で共有したり浸透させる目的で実施される。

 サントリーの強さは、この活動を商品を通じて伝えることに成功しているところだ。天然水のボトルを手にした消費者は、デザインラベルに描かれた山々やテレビCMから、同社の水源保全活動を連想する。こうしたストーリーが思い浮かんだ消費者は、水を守るというイメージを具体的なものとして感じ、「水と生きる」というメッセージに納得する。

 今回の調査を項目別に見ると、「自然保護に力を入れている」「生物多様性や動植物資源の保全に努めている」「大気・水・土壌などへの排出抑制に力を入れている」で、サントリーが1位を獲得した。自然、生物、水を守るというイメージが浸透していることが分かる。

 水源保全活動は、海外グループ会社にも展開している。2017年春には、水に関わる活動をする際の考え方を示した「水理念」を定め、300社を超えるグループ会社が同じ考えの下に環境活動を進める体制を整えた。様々な拠点や商品で1つのメッセージを追求する、ブレない経営が評価につながっている。