【投資家の目】

消費者と投資家、両にらみの開示を

 環境ブランド調査の結果はいわば一般消費者からの評価だが、企業が最近気にかけているのは投資家からの「環境・社会・ガバナンス」(ESG)の評価だろう。企業のESGの取り組みをみて投資を判断する「ESG投資」が加速してきたからだ。

 そこで、環境ブランド調査の結果と投資家のESG評価を比較し、相関と違いをみてみることにした。

 まず持続可能性の指標として有名なのが「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)」だ。スイスのロベコSAMのESG評価データを基にS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している株価指数である。

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 2015年のDJSI(世界)の構成銘柄に選ばれた日本企業は20社。うち花王やパナソニック、TOTOなど6社が環境ブランド調査の50位以内に入っている。興味深いのはBtoBに軸足を置く企業だ。環境ブランド調査では高い順位を獲得しにくいが、DJSI(世界)に選ばれた積水化学工業とコニカミノルタ、リコーは、2016年の環境ブランド調査の順位が15年から大きく伸びた。コニカミノルタは288位から116位に飛躍した。評価する理由について、「液晶フィルムなど新しい価値を創造する意志が見て取れる」など、投資家が評価する長期的な企業姿勢が消費者にも伝わっていることがうかがえる。

 CDPの結果も企業トップの関心事だろう。世界の機関投資家をバックに付けたCDPが採点するプロジェクトで、CDP気候変動では機関投資家の運用資金が100兆ドルに上る。2015年に気候変動と水のAリストに選ばれた日本企業の大半は環境ブランド調査トップ50の企業だ。投資家と消費者双方に環境の取り組みが伝わっている企業といえる。

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 DJSIと並んで有名なESGの指数が、MSCIグローバル・サステナビリティ・インデックス(通称、MSCI ESGインデックス)である。日本企業は138社が組み込まれた。その中で最高位のAAAを取得したのは7社。NTTドコモとダイキン工業は環境ブランド調査で50位以内に顔をそろえる。

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 QUICK ESG研究所は、ESG調査会社VigeoEIRISと提携し、EIRISのESG評価データを用いた助言サービスをしている。EIRISはA~Eで企業を格付けしているが、日本企業はAとBが世界平均より少ない。だが「環境」だけでみるとAとBは日本企業が世界平均より多いという。社会、ガバナンスの評価が低く、総合評価でAが減る。そのなかでも花王やNECは総合でAを得た。環境ブランド調査では15位と40位。消費者にも支持されている企業だ。

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 最近の消費者は次世代が生きる未来の地球に関心を持つようになっている。長期的な経営をみる投資家の評価と重なる部分がある。MSCIヴァイスプレジデントの鷹羽美奈子氏は、「ESG評価の『社会』の一要素にこうしたブランド調査の結果を組み込むことは有効」と語る。

 消費者も投資家も意識したきめ細やかなESGの情報開示が今後企業には求められる。