経営トップが強いメッセージ

 富士フイルムは2013年の69位から、2014年は47位、2015年は28位と伸びた。2014年、富士フイルムホールディングスは創立80周年を迎え、新しいコーポレートスローガン「Value from Innovation」を制定した。2014~16年度の中期CSR計画として、事業を通じて社会課題の解決に取り組む、いわゆるCSV(共有価値の創造)を打ち出した。環境、健康、生活、働き方を重点4分野として、11の社会課題解決に取り組むという。

 そして、事業領域で新しい価値を作り続けるというメッセージを、古森重隆会長が2014年以来、広告やインタビューなどで発信している。

 メッセージを裏付ける社会課題解決の製品も既にある。アンチエイジング化粧品「アスタリフト」や、エボラ出血熱への効果が期待される子会社の富山化学工業のインフルエンザ薬「アビガン」だ。2007年に発売したアスタリフトは、歌手の松田聖子らをCMに起用して認知度が上がった。「抗酸化やコラーゲンの効果が社会に広まり、製品への納得感が強まったのではないか」と富士フイルムCSR推進部の川﨑素子・環境・品質マネジメント部長はみている。

 夢を売る化粧品だけに容器の環境配慮にもこだわった。使い切った後、外容器はそのままで中容器のみ取り替える構造にし、廃棄物を1人当たり年間70%削減した。ホームページでも分かりやすく伝えている。こうした努力が実り、分野別ランキングの「省資源に努めている」で18位と健闘した。

創立80周年を機に、富士フイルムホールディングスの古森重隆会長が、化粧品や薬など社会課題を解決するものづくりを進めることを伝えた。アンチエイジング化粧品「アスタリフト」は中容器のみ取り替える構造にして廃棄物を削減し、支持を得ている

 BtoBでは2015年4月、印刷業界の環境負荷を下げるソリューションを「スーペリア」というブランド名で打ち出した。現像せずに済むオフセット印刷用のアルミ板やVOC(揮発性有機化合物)対策の薬品の新製品を発売した。現像用の廃液を減らし、VOC規制に対応できる。従来から進めてきた印刷における省資源やVOC排出削減を総合して提供する。企業の印刷物の環境配慮につながり、「有害物質の使用削減に努力している」で3位と高い評価を得た。

 X線フィルムで医療の診断分野に参入した同社は、フィルムで培った高度な化学合成技術を駆使して、サプリメントを含む予防や治療の分野にも進出してきた。技術力を生かした多角的な事業で社会課題の解決に取り組み、その思いを経営トップが強く表明したことが、環境ブランドの上昇につながった。