【インタビュー】

哲学のある企業はぶれない 消費者は接するメディアに影響

上田 壮一氏[Think the Earth 理事]

写真/山口 大志

 サントリーのコミュニケーション戦略はうまいと感じた。目を引いたのが、缶コーヒー「BOSS」のCMの登場人物を「水と生きる」という企業広告にも採用したこと。地球を調査していた宇宙人ジョーンズが、サントリーに入社して活動を調査するという設定だ。一商品ブランドの登場人物を企業広告にも起用するのはあまり例がない。「水と生きる」を訴求するターゲットを、BOSSを飲む層まで広く捉えていると感じた。他社が追い付けないのは、個々の環境活動や製品を企業全体のイメージにまで持っていけてないからだろう。

 私はトヨタの若者向け小型ハイブリッドカー「アクア」のプロモーション活動に2012年から携わっている。水辺の自然を守る参加型プログラムを全国で展開し、SNSや地方新聞の力で浸透させてきた。トヨタの場合、車種のブランドイメージが強く、今回の調査では「省エネ」や「省資源」では1位だが、「生物多様性」や「自然保護」ではさほど上位に入っていない。活動を伝えるには工夫の余地がまだあると感じた。

 全体的にはオーナーや創業者の強い企業には哲学があってぶれない強さがあると感じる。順位を大きく上げた企業で注目しているのが、フェアトレード認証のチョコレートを製品化した森永製菓(78位)、顧客からの寄付を社会貢献活動に生かす通信販売の千趣会(199位)、ITで社会課題を解決するアイデアを募集し、選ばれたアイデアに3億円以上を助成したグーグル(106位)だ。

若者のニュース源はツイッター

 企業に抱くイメージは接するメディアの影響が大きいが、接触媒体の個人差は広がるばかり。若い世代はより顕著だ。ある美術大学で100人の学生にニュースを見るメディアを聞いたところ、ツイッター、テレビ、Yahoo!などが主で新聞はほとんど読んでいない。環境や社会課題を大事だと思っていて知識もあるが、リアルな体験は乏しい。アクアもそうだが、実体験によって心に火が付く機会を企業が提供するのは面白い。

 最近、日本にも「ファブラボ」などのDIYムーブメントが到来しつつある。工作機械をシェアし、工場や在庫を持たずにものづくりをするためサステナブルと言える。企業の形態が変わると環境ブランド調査の結果がどう変わるのか興味深い。(談)