【インタビュー】

上位企業は財務と非財務をリンク 事業拡大が環境価値も上げる

竹ケ原 啓介氏[日本政策投資銀行 環境・CSR部長]

写真/山口 大志

 経済情勢や象徴的な製品の発売で順位が上がる企業がある一方で、上位の常連企業はここ数年変わっていない。サントリーやトヨタ、パナソニック、イオンは個別事情に左右されない総合力がある。

 総合力を重視する点では金融機関の評価も同じだ。ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデクス(DJSI)やFTSE4Good、MSCIなどに代表される環境・社会・ガバナンス(ESG)格付けは、個々の製品ではなく会社全体のESGを含めた非財務面を総合的にみている。当行のDBJ環境格付けも環境と銘打っているが、主たる評価項目は総合性やサステナビリティとなっている。

ストレートなメッセージが訴求

 今回の調査結果と金融機関の評価が違うところもある。同じモビリティでも「自動車」は評価が高く「鉄道」は高くないが、個別にみれば鉄道事業者の環境配慮や安全性能は非常にレベルが高い。評価する人が沿線住民に限られやすいので業界として損をしている。インフラ・発電・エンジニアリングもそうだ。BtoBであるため女性への訴求力が小さい企業も少なくない。同じ業界でも、全社的イメージでブランドを構築しているか、技術力を前面に出しているかによって、結果が分かれている。

 生態系については、サステナブルな管理より、ストレートに「守っている」というメッセージの方が消費者に響く。製紙メーカーも森林管理に注力しているが、順位はあまり高くない。これに対してサントリーは水資源に依存しているにもかかわらず、「サントリーが水源管理をしてくれるから、よりきれいな状態で涵養されている」と伝わってくる。本業の拡大が環境の価値の拡大に直結する。これを我々は「統合的なアプローチ」と呼ぶ。

 統合報告もGRIのマテリアリティ(重要課題)も結局はこの点を重視し、「財務パフォーマンスを裏付ける非財務的な価値を見せなさい」と言っている。「この取り組みをするとこれだけプラスがあり、当社の収益にもプラスになる」ときれいに語り切った会社が市場で選ばれる。

 サプライチェーン全体で環境に配慮していることを消費者にワンフレーズで伝えられる会社が上位をキープできるのだと思う。(談)